40代半ばを迎えると、働く人たちの中にはある特異な現象が生じる。それは、ミドルパフォーマーからローパフォーマーへと変わっていくというものだ。長いキャリアの中で、彼らは一貫して安定した業績を維持してきたはずだ。しかし、40代半ばに差し掛かると、同じパフォーマンスであっても、彼らはローパフォーマーと見なされるようになるのだ。
かつては、30代半ばまでは期待値に見合ったパフォーマンスを発揮していると評価されていた。しかし、40代半ばになると、同じ成果を上げ続けていても、その評価は一変する。彼らは一度優秀な営業成績を収めたとしても、何の考慮もなく10年が経過すれば、突如として事務職に転属させられる可能性があるのだ。これから先のキャリア設計を考える上で、彼らは何を心に留めておくべきなのだろうか。
専門性こそが鍵である。専門性を身につけることが、40代半ば以降において彼らが直面するキャリアの課題を乗り越えるための重要な要素となる。皆さん、こんにちは。ピボットの佐々木と申します。今回は、パーソル総合研究所の上席主任研究員である藤井かおるさんをゲストにお迎えし、人事ガチャの秘密について探求していきたいと思います。
「人事ガチャの秘密」というタイトルはインパクトがありますが、なぜこの本を執筆しようと思われたのでしょうか?基本的には人事異動に関する話なのですが、現在の配属や異動にはガチャ要素が含まれていますよね。特に新卒採用の際にもよく見られる現象です。人事異動による不透明さや疑問を抱えるのは新卒だけでなく、皆さんも同じではないでしょうか。
そこで、私たちはこのテーマについて3年間にわたるヒアリングを行いました。私自身、タレントマネジメントについて専門的な知識を持っていますが、タレントマネジメントと言えば次世代のハイポテンシャル人材を指すイメージがあります。しかし、次世代のハイポテンシャル人材は会社全体の中でごく一部の1%程度しかいないものです。では、残りの99%の人たちはどうなってしまうのでしょうか?
私たちの調査では、タレントマネジメントは大きく2つに分けられます。一つは次世代のハイポテンシャル人材を見つけ出し、育成すること。もう一つは、各社員に対して適切な活躍の場を見つけ出すことです。特に一般社員や管理職といった大きなグループに注目し、この2年間で調査を行いました。
86社を対象に調査を行いましたが、ここで興味深い発見がありました。それは、配属ガチャや人事ガチャといった現象が存在する一方で、人事部と配属先の意思疎通に問題があることです。日本の人事制度は一見して理解されているように見えますが、実際にはブラックボックスの側面があるのです。
人事部が主導権を握っている場合、一般社員についてはほとんど目配りされていないという現実が明らかになりました。特にハイパフォーマーとローパフォーマーは注目されますが、その間に位置するミドルパフォーマーについては相対的な評価が行われ、一般的な管理職として扱われることが多いのです。
人事ガチャの秘密だけでなく、人事部が実際には多くの社員に対して目配りを行っていないという事実が浮かび上がってきました。一般社員に関しては、事業部門が主導権を握っている場合がほとんどであり、人事部はその動向を見守る役割に徹しています。
しかし、ハイパフォーマーとローパフォーマーの存在はどちらも重要であり、人事部も配属やローテーションを通じて彼らをサポートする必要があります。ハイパフォーマーは優秀な成果を上げることが期待される存在ですし、次世代のハイポテンシャル人材として育成されるべきです。一方で、ローパフォーマーも目配りが必要です。彼らが現在の部署で十分なパフォーマンスを発揮できない場合、新たなマッチング先を見つける必要があります。
ミドルパフォーマーについては、彼らが会社全体の中核となる存在です。彼らのパフォーマンスは標準的な水準であるとされますが、相対的な評価によってその評価は変動します。彼らも個別に目配りされ、適切なキャリア開発の機会を与えられるべきです。
今後のキャリア設計においては、個人自身も主体的に行動することが重要です。自己啓発や専門性の向上を図ることで、自身の価値を高めることができます。また、人事部や上司とのコミュニケーションを活発に行い、自分のキャリアの方向性を明確にすることも重要です。
人事ガチャの秘密に加えて、人事部が目配りを行っていないという事実が浮き彫りになりました。しかし、個人自身も自己啓発に努めることで、自分のキャリアを積極的に築いていくことができます。専門性の向上や自己成長を重視し、自身のパフォーマンスを高める努力を怠らないことが重要です。
40代半ばを迎えると、キャリアにおいて新たな試練が待ち受けているかもしれません。しかし、専門性を身につけ、自己成長を促進することで、この時期を乗り越えることができます。自らのキャリアを主導し、将来の成長と発展に向けて努力を重ねましょう。