愛知県常滑市の市長、そして愛知県知事がこれまでにないほどの強い口調で怒りを表明した『NAMIMONOGATARI』を巡る一連の騒動。遂には支払われるハズだった助成金3000万円の取消しという前代未聞の“鉄槌”が振り下ろされたのである。

 さらに追い打ちを掛けるように参加した観客からコロナ患者も出てしまい、クラスター認定をされる始末に自治体の怒りはおろか、身内とも言える音楽業界からも怒りの声が上がっている。ある音楽事務所の関係者は昨今のライブ、コンサート事情についてやりきれない現状を語ってくれた。

「9月2日にはコンサートプロモーターズ協会など、4つの音楽団体が『医療従事者や関係当局の皆様のご苦労を台無しにする暴挙』と主催会社を強く非難する声明を発表しました。主催者は声明を出した4つの音楽団体にいずれも所属していない業者です。

 コロナウィルスの感染拡大以降、音楽業界は苦境に立たされています。ライブやコンサートは『感染源』として非難の対象になり、相次いで開催中止や延期に追い込まれています。投げ銭ライブなどと銘打って、ネット配信で高額な売上げを稼いだアーティストが話題になったりもしましたが、そんなのはごく一部。

 コンサートやライブでは、物販と呼ばれるコンサートグッズなどの売上げがアーティストや事務所の大きな実入りになるため、中止や延期によるダメージは計り知れないのです。だからこそ、悪いイメージや噂を封じつつ、行政から人数を減らせと言われれば要求を呑んで、なんとかして開催にこぎ着けたいわけなのです」

 それだからこそ、今回の「NAMIMONOGATARI」の暴挙とも呼べる開催に対して、音楽業界は強い憤りを感じているのだという。

 こうした音楽業界の想いを踏みにじるようにして、入場者数を大幅に増やして開催を強行、更には自粛要請を無視してアルコール提供を行った主催者はどのような会社なのだろうか。事情に詳しい地元名古屋のメディア関係者にも話を聞いた。

「このイベントの歴史は古く、2005年くらいまで遡るんじゃないか。当初は名古屋市内の比較的大きなハコ(※ライブハウス)で1000人程度のイベントだったんだけど、あるときから規模が大きくなり、海岸などで大規模フェスを主催するようになっていった。

 会社の代表は名古屋のヒップホップシーンの黎明期を支えた人物として業界では重鎮的な存在で、今回出演したアーティストたちも出演依頼を無下に断れなかったんじゃないかと言われている」

 この主催会社の代表は名古屋ヒップホップ界を支えた立役者というのである。

 だが、イベントの巨大化と共に悪い噂も付いて回るようになったという。

「イベントの規模が大きくなった背景には、ある半グレ集団が関わっていると噂になっていた。こういう噂は回るのが早いんで『できるだけ距離を取るようにしている』と話す人もいますね」(前出名古屋のメディア関係者)

 この音楽関係者は言葉を濁したのだが、半グレ集団の資金とコネクションで規模は年々大きくなっていったと地元では噂されていたという。

「名古屋のヒップホップ関係者はヤンチャなのが多いんですよ。今は亡きTOKONA-Xなど、伝説化したラッパーも多く輩出しています。演者がヤンチャなら、それを仕切ってうまくまとめることができるプロモーターもヤンチャじゃなきゃやってられないということ」(前出名古屋のメディア関係者)

 とは言え、この関係者を含め多くの関係者は、半グレとの噂が出始めた頃からできるだけ距離を置いて表面上は“良好な関係”を保っていたという。

続く

以下ソース
https://nikkan-spa.jp/1778454

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