最悪・・エロゲを見られた。

高校二年の春、僕・・薄井啓太は時々視線を感じていた。

 しかもその視線はミス桜花! 昨年高校一年生でグランプリに輝いたあの花澤亜衣さんなのである。ちなみに花澤さんはCUTE17とかの雑誌モデルもしてるらしい美人さんです。

 いやいやなんでオレなんか見てるんだ? おかしくないか? 何か変な事やってしまった? いやなんか変な臭いとかオーラ出してしまっているのか? 自慢じゃないがオレ風呂とか好きだし、毎日入ってるから臭わないよな・・ でも視線を感じる時は大体あのゲーム・・・そうちょっとエッチなゲーム タイトルは、俺が妹に恋して何が悪い をプレイしてる時だって気が付いてしまった。

 まあ学校ではアッキー(アキバ系)とか言われているし、通称ガチヲタク認定されているオレだけどな。

 そんなオレでもチョットは背徳感があるんですよ・・・マジでw 自覚しているなら女子生徒がいる空間でエッチゲームするなよって感じなんだが・・・・。 でも、そもそもボッチだし友達いないし・・・・実際に授業の間の休み時間とかすること無いんだよね。

 なんなら一日中PLAYしていてもいい!! 人目なんて気にしないさ ヲタだし!でもさ・・・一日に何度も視線を感じているとさすがに・・マジでこいつキモイんですけどーとか 幼女とかの着せ替えとかしながらグヘェグヘェ言ってるとか思われるのもなんかね~。

 次の休み時間はちょっと自粛してゲームするのやめるか・・・・

 もうお昼か・・・・やっぱりさっきの休み時間ゲームをしなかったら、花澤さんこっちを見なかったな・・・・ やばぇーマジで完全にゲームできないジャン。 オレの休み時間オワータんですけど~ これからは通学の時間と昼休みくらいしかPLAYできない予感。 マジでオレの楽しみが・・・・新学期早々詰みました。

 今日は天気が良いし風も気持ちが良い!! ヨシ! 購買部で焼きそばパンとお茶でも買って来て唯一のお昼休みを満喫するぞおおお! 校舎の裏のベンチっていつも人がいない! いや~ ボッチがボッチでも誰も気にしないこの空間マジでボッチ・ザ・ワールド! いざ俺が妹に恋して何が悪いするぜぇー

 やべぇ~マジ可愛すぎるぜ! ぐへぇへぇへぇ・・・ ゲームに熱中しているオレは人が近づいて来ている事に全く気が付いていなかった。

 「ねぇー アッキー」

 「ねぇー ってば」

 ビクッ! 見られた! ボッチ・ザ・ワールドの中でひたすらヤバイ顔をしながらゲームをしている・・・俺の顔面見られた!! やばい! もうお嫁にいけない!! 男子だけどお嫁にいけない!!

 スマホの画面を伏せて膝の上に置き・・・ゆっくり後ろを向くと・・・・声の主は花澤さんだった。

 マジで死にたい・・・・もう嫌だ。 オレの高校2年が終焉を迎えた。 今までは見られたとしても少し離れたところだったから良いけど、今回は真後ろ! それもパンツのお着替え中を見られたのである。

 しかし花澤さんは別に気にもしないような素振りでオレにこう言って来た。

 「アッキーも俺が妹に恋して何が悪いやってるんだー」

 オレは一瞬何を言われたのか分からなかった。

 アレ? 今、花澤さん・・・アッキーも?って言わなかったか? 聞き間違えじゃないよな? しばらくオレは、アッキーも? アッキーも? って頭の中で花澤さんの言葉も何度も呪文のように唱えていた。

 そんなオレに対して、花澤さんは続けて話しかけてきた。

 「2.3日前から気になっていたの。 もしかしてアッキーも俺が妹に恋して何が悪いしてるんじゃないかなーって」

 「それで休み時間の度にゲームしているアッキーを観察していたんだよね。」

 「そしたら今日、アッキーが私の視線に気が付いてスマホの画面隠すようになって・・・」

 「あーーもう何で画面隠すの! 確認できないジャンって思っていたら、次の時間ゲームしていないし」

 「いつも休み時間絶対ゲームしてるアッキーがゲームしてない! もしかして観察してるのバレて休み時間教室でしなくなったのかなーって」

 「でも流石に昼休みはゲームするよね! って思いアッキーの後つけてきたんだよ」

 オレは思った・・・・学内一、美人でアイドルな花澤さんが・・・・たかだかオレがゲームしているタイトルを確認するためだけにオレをストーキング? いや後を付けて来ただと? そもそもこのゲーム・・・女子は絶対にやるはずが無い!! 男だってキモイヲタくらいしかやらないゲームなんだぞ?

 やっぱり何かがおかしい・・・・オレは少し考え込んでしまっていた。

 そんなオレに花澤さんは言ってきた。

 「私もそのゲームやってるんだぁー 今レベルが69なんだよね。」

 オレは思った・・・・69かぁ~ そこそこやってるな! まあガチのオレには敵わないが普通に毎日2.3時間やっているプレイヤーだ。

 ちょっと感心しているオレに、ふふんって顔で花澤さんはオレを見てくる。

 「アッキーって今レベルいくつなの? 休み時間とかも毎日プレイしてるからかなりレベル高そうなんだけど・・・・いくつ?」

 これはガチ勢だとバレルかも・・・・いやもう毎日休み時間もPLAYしてるってバレてるし、オレのレベルを言っても驚きはしないかもしれないな。

 「今、レベル115です。」

 「えっ! うそー すごい!! じゃあ今のイベントってソロでもクリアー出来ちゃうの?」

 「あー アレか・・・ 下着ゲットできるイベントかぁー」

 やばい普通に下着とか女子に言っちゃったよ。 でも花澤さんは下着と言われても別に赤面する様子もなく言ってきた。

 「私のレベルだとソロじゃ下着ゲット出来ないんだよね・・・・・前のイベントのもゲット出来なくて・・・」

 花澤さんはちょっと悲しい顔をしていた。

 「アッキー お願いがあるんだけど・・・・」

 学園一の美人でアイドルの花澤さんからのお願いだと!! オレはビックリした顔をしていると・・・

 「フレンド登録してイベント手伝ってくれないかな~ お礼はちゃんとする!! お願い!! どうしてもこのイベントをクリアーして下着手に入れたいの! お願いします!!」

 花澤さんが泣きそうな顔で懇願してくるのでオレは承諾した。

 「いいよ。 普通にPT組んで後ろから付いて来るだけどクリアーできるはずだから!」

話していると、昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴った。

 「あー昼休み終わっちゃった。。。。 もう少し早くアッキーに声をかければよかったなぁ~」

 花澤さんはちょっと残念がっていた。

 「とりあえず時間だから教室戻ろうよ でも一緒に戻らない方が良いか・・・・ 一緒のところ見られるとアッキーの事いじめる男子いそうだから・・・私はコッチから行くね! アッキーはそっちから行ってー」

 花澤さんは走って教室の方に向かって行った。確かに花澤さんにはファンが多い!いやファンと言うか親衛隊?まさにこの学校のアイドルなのである。そんな事を考えていたら少し時間が経過してしまった。 オレも急いで戻らないと次は移動教室だからな。

 教室に戻った時、花澤さんと目が一瞬合ったが何も無かったかのように二人は机の中の教科書を取り出していた。

 「亜衣~ 早く移動しないと遅れるよ!」

 花澤さんの友達が呼びに来たようだ。

 花澤さんがオレに向けて小さく手を振ったように見えたが・・・・一瞬過ぎてそのまま見過ごしてしまった。

 まあ、変に反応して花澤さんの友達に気づかれてもやばそうなので何もしなくて正解だったのかもしれない。

 教室を出て移動教室に向かってると、先に教室を出た花澤さんが前を歩いていた。

 時々一緒に並んで歩いている友達を見る横顔がすごい笑顔で、花澤さんってやっぱりすごい美人だなぁーって実感。

 先ほど話していたのが嘘のように感じてしまった。

 花澤さんみたいな人もマジで・・・俺が妹に恋して何が悪いPLAYするんだな・・・・そう頭の中で考えながら何度も前を歩く花澤さんの横顔を見てしまった。

 移動教室に到着。

 教室では花澤さんと席が隣同士だが、ここは自由に座れるのでみんな大体後ろの席か窓際に座る。

 ボッチなオレは大体一番前の席か廊下側が・・・・。

 今日は一番前か・・・・ここ嫌なんだよな~ 先生のツバとか飛んでくるしww 誰も座りたくない席ナンバーワン。

 笑い声聞こえるし・・・・ツバ浴びてるオレの事を絶対笑ってるんだろうな。

 昼飯後の授業は本当に眠い・・・・一番前だし寝ることも出来ない。

 学園一のアイドルさんと話した罰なのか? そんな気がしてならない午後一の授業だった。

 やっと授業も終わり移動教室からいつもの教室へ。 アレ?来る時も前に花澤さんが歩いていたけど・・・帰りも花澤さんが前を歩いてる。花澤さんがチラっとコッチを見る。やばい花澤さんを見ていたのがバレたかもしれない・・・今度はオレがストーカーみたいじゃないか!

 教室に着くと花澤さんが小声で言ってきた。

 「これ私のゲームID 」

 そう言って周りを一瞬見回してから ai77hana と書かれた小さな紙を渡してきた。

 「登録してね。」

 オレは軽くうなずいてからゲームを起動した。

 早速フレンド登録! そして思った・・・・もしかしてイベントをクリアー出来ていない花澤さんもオレが最初のフレンドなのか? そんな事を考えながらオレは花澤さんの事を考えてしまった。

マジでこの部活は・・・・・

 やっと今日の授業が終わったああ  さて今日は部活出るべきか・・・・・ちょっと悩む。部活といってもほとんどゲームしかしていない部活なんだが一応所属はしてるんですよ。そんな事を考えていると花澤さんがオレの横腹を小突いてきた。

 「アッキー 今日これから時間ある?」

 周囲を気にしながら・・かなり小声で話しかけてきた。オレは一瞬部活のことをもう一度考えたが花澤さんとの約束を優先しようと思った。そして花澤さんに時間あるよと返事をしようとした瞬間・・・

 「亜衣~ カラオケ行こう! 先週約束したじゃん 今週カラオケ行こうって! 忘れてないよね? 今日はマジで長時間歌うぞー」

 花澤さんの友達の赤井沙希が大声で言いながら教室に入ってきた。 オレこの赤井沙希って苦手なんだよな・・・ヲタクってマジキモイとか平気で言いう女子だし、結構上から目線でオレの事を馬鹿にしてくるんだよね。先日も教室に入って来るなり・・・・花澤さんと話すから席譲れって。しかもオレが席を譲ったら・・・はぁ? 何そのまま立ち去ろうとしてるの?って顔をしながら言ってきた。

 「このまま座るとヲタうつるからさぁ~ 除菌ティシュとかで拭いてよ」

 いやいやいや・・・ヲタとかうつらないし・・除菌ティッシュとか持ってないし そんな風に言い返したかったが・・・・言い返したところで100倍返しされそうなんで逃げてきてしまった。

 後ろの方でなんか凄いキレている赤井沙希の声が聞こえたがもうどうでも良かった。

 花澤さんは赤井沙希に拉致されカラオケだからオレは部活に顔を出すかな! そう思いながらオレは文化部のある部室棟へ向かった。ちなみにオレが所属している部活はアニメ研究会! まあヲタの集まり!そして・・・今オレがPLAYしている俺が妹に恋して何が悪いの愛好家達がいっぱいいるのだ!!現在部員がオレを含めて5人・・・いっぱいと言ってしまったがこのエロゲをするプレイヤーが5人集まるのも凄いことなんだよね。

 部室に入るなり目の前に貼られているアニメのポスターの数々・・・・普通の人が見たら鈍引きするレベルである。なので部室のドアはいつも閉められている。 入り口から奥の方に部室があればよかったのに・・・不運にも入り口入ってすぐの部室なんだよな。

 奥には女子部員が沢山いる演劇部があるので絶対に見られたくないのである。まあ演劇部員には見られてるんだろうな、時々汚物を見るような眼差しを向けられることもあるし。最初に述べたがオレはガチのヲタだし女子にどんな目で見られてもかまわないが、部室内のことを学校に報告されて廃部とかマジ笑えないから気をつけてるのである。

 部室の入り口に着たオレはドアを少し開けて滑り込むように中に入る。

 「おはようございます」

 時刻は15:30分を回っているけど・・・・おはようございます。 誰だよコンニチワじゃなくておはようございますとか決めたヤツは! 時々思うんだよな。

 「おはよう」

 ×4・・・・ 全員揃っているようだ。 ようこそ豚小屋へ。まあ豚みたいなヤツはいないが敢えて言ってみた・・・ようこそ豚小屋へ。

 「そういえば16:00からブラジャーのイベントあったな!」

 どうだヤバイだろう・・・部室に入るなりいきなり・・・おはようの次に出てきた言葉がブラジャー! 普通はもっと他の言葉が出てくるよなw 授業終わったぜーとか飲み物買いに行く?とか・・・・それがブラジャーだもんなw ちなみに・・・・一人女子部員がいるんだが・・・・先に言っておくよ。

 「まだ時間あるし飲み物とか買いに行こうぜ~」

 「部長 ゴチです!」

 「部長 男前です」

 とりあえず部長をおだてて・・・・ジュースゲットだぜ!!みたいなw毎回こんなことしてもお金を出してくれるですよ。

 「アッキー先輩! 今日もヲタっぽくて最高です!」

 あーもうこの一年女子は、先輩を敬う気持ちなんて微塵も無いんだな・・・ しかしこんな一年女子にも彼氏がいるらしいんだが、この世界どうなってるんだ?時々写メとか見せ付けて来るんだが・・・わりと普通の男子生徒だったりするんだよな。

 「アッキー先輩にも彼女できますように・・・・」

 あーこれだ!! 叶わない夢を平気で口にする・・・どうしてこう年下の女子はオレを・・・敬わないんだ!! 年下の女子って他に誰がいるって? あえて言わなかったが・・・オレには中学2年生の妹が一人いるんだ。 へんな勘違いされそうだからな・・・・俺が妹に恋して何が悪いなんてゲームしてるからリアルの自分の妹をって勘違いされては困るからだよ! 言わせるな!

 そんなオレの心をヘシ折るかのように一年女子の徳井愛が言って来た。

 「先輩!」

 まあオレに対して話しかけて来てるんだろうが・・・・主語が無い!! そんなふざけた日本語がオレには通じないぞ! って内心思いながら・・・気が付かない振りをしていた。

 「先輩!」

 この女・・・まだオレを痛ぶるのか! リア充氏ね! 彼氏彼女持ち氏ね! オレは心の中で唱え続けた。

 「アッキー先輩!」

 やっと気が付いたか・・・・ちゃんと主語をつけないと大人は理解しない事を!!まあオレもまだ大人じゃないんだけど

 「なんだ? 徳井! 何か言い事でもあったのか? 先輩 先輩連呼しちゃって。」

 「ちなみにオレは今日・・・ちょおおおおおおおお言い事あったぞ!! 言わないけどな!」

 おれは勝ち誇ったような顔をして徳井に得意げに言ってやった。ちなみに洒落でもなんでもないぞw

 「どうせ先輩のことだし、女子のパンチラでも見てラッキースケベー!! マンセーマンセーとか喜んでたんでしょ?」

 いや・・たしかにパンチラとか見たら興奮しちゃうDTだが・・・・この女に言われるとなんかムカつくんだよな。実際、徳井のパンチラ見てしまった時はマジでラッキーとか思ったオレなんだが・・・・ゴメンよ徳井! それと何気にコイツ巨乳なんだよな。なんか変なスキンシップとかで胸押し付けて来る時あるけどアレはマジでやばい! 別に巨乳が好きとか断言していないけど無邪気なスキンシップはDTなオレにとって嬉しいんですよ。

 そんなちょっとやましい事を考えていたオレに、徳井が知りたそうにしていた。

 「愛 知りたいな~! 先輩の事気になっちゃうよ~」

 いやいやいや・・・ 何、その意味深な言い方! 仮にも彼氏がいる女子が呟いちゃいけない言葉だぞ! ドキドキしちゃうじゃないか!! 別に・・・二番目の男にしてくれても。。。ってオイ!w

 「まあいいや! そろそろイベントの時間ですよ~ 先輩」

 ブラジャー獲得イベントの時間である。先ほど花澤さんに頼まれたイベントは下着(パンツ)なのに対してコチラはブラジャー! 普通ブラジャーのイベントはソロとかでパンツは難しいPTじゃないのか?って思うんだが・・・ この運営会社はどうなっているんだw

 「レッツ ブラジャー! オレの妹にブラジャーつけるぞおおお」

 「おおお!! 」

 なんか部員全員凄いノリノリである! ちなみにブラジャーは7種類ある!! その中でも・・・・マイクロビキニタイプのブラジャーはやばい!! ちょーレアなのである。 まだ部員の誰もゲットしてはいないんだが、もし仮にゲットできたら・・・・・・巨乳の妹・貧乳の妹・・・どちらにつけても最高の逸材だよな!

 イベント期間は4月13日~4月19日 今日は4月15日! イベントの残り期間は・・・・・あと5日! 16時からと21時からの1日2回出来るイベントなんだが・・・・・大体16時くらいしか出来ないんだよね。なのでチャンスは残り5回!!

 「うおおおおおおおおおっ」

 何故か雄たけびを上げてしまった!! はたから見たらブラジャーを求める変態男そのものなんだが・・・ゲームの中のアイテムなんで犯罪にはならないだろう。

 さてイベントがスタート!! 単純なゲームなんでダンジョンを一直線にかけていく!! 目の前に迫る野獣みたいなMOBをひたすら倒していく!! そして最後にボス!! コレを倒せば後ろの宝箱の中にブラジャーが!!!

 こんな単純なゲームなんだがキャラが可愛い!! マジ可愛い あああ俺の妹マジ最高!!そして何より着替えとか一緒にお風呂・・・妹と一緒に遊びつくすゲームなのである。

 そしてふと思った・・・・花澤さんはブラジャーイベントやっていないんだろうな・・・・って。流石にパンツのイベントは余裕でクリアーできるが、ブラジャーのイベントは最低でも5人以内とクリアーは難しいのだ。もし仮に花澤さんがブラジャーを欲しいと言い出したら・・・・この部室に花澤さんを連れてくる??

 いや・・・それはダメだ・・・絶対に。流石に学園のアイドルをこの部室に呼ぶことは出来っこないよな。でもこのゲームをしてるってことは・・・かなりのヲタクの可能性も・・・そんな事を考えているといつの間にかボスを倒していた。

 「みんな! 同時に箱開けるぞ!!」

 部長が叫ぶ!

 「OK」 「OK」 「了解」 「イエッサー」

 各々部員が叫ぶ!!

 「マイクロカモオオオオオオオオオオオオン」

 沈黙が続く・・・・・誰もマイクロビキニをゲットしていないようだったw。

 「まあ~ しょうがない・・・・出る確率0.02%でしょ?」

 「最高できたとして12回・・・それで0.02%ってどんだけ~~~」

 「だれか数学得意な人!! 得意なだけに・・・徳井! 解けるか?」

 「・・・・無理っす ! 高1はまだ数学1なんで習ってません!」

 「確かに・・・習っていないなw」

 「部長とか3年生は習ってないんですか?」

 「いやオレ・・・文系だし微分積分とか取ってないからw」

 「とりま・・・0.02×12%? よくわからんがw」

 「さてイベント終わったし今日は帰るか・・・・明日も16時からヨロシク!!」

 部長が言い出したのでみんな荷物をまとめ始めた。

 このイベントも残り少しだけど花澤さんの頼みどうしようかな・・・・といっても今、カラオケ行ってるっぽいし、明日学校で聞いてみるとするか。

 うちの妹は・・・・・

 「ただいま~ 」

 誰も居ないのか・・・・お母さんは買い物か。 妹は部活かな・・・最近うちの妹はオレを見るたびに凄い嫌な顔をするんだよな。別にオレ悪いことしてないんだが・・・昨日なんて自分の部屋から出た時に妹と目が合ったんだが、いきなり舌打ちされ目をそらされたんだよね。まさか俺が妹に恋して何が悪いをPLAYしてるのがバレたとか? いやバレたスマホ破壊されるかもしれないが・・・

 「ただいまー お母さんいる?」

 噂をしていたら妹が帰ってきたみたいだ。おかえりーとか言っても無視されるだろうし言わないでおくか。こんな風になったのは何時からなんだろって考えてしまう。多分中学生くらいだろうな・・・・アニメのポスターとかフィギュアを集めだしてから妹がオレを見る目が変わったのは。

 「ただいまー アレ啓太も優衣も帰ってきてるの? お母さん買い物行っていたのよー」

 「おかえりなさーい」

 妹の優衣が直ぐに返事をしていた。先に言われてしまったが・・・ちょっと間を置いて俺も言った

 「おかえりー」

 直ぐに妹が母親に聞いていた。

 「ねぇ お母さん 今週の土曜日 友達2人家に呼んでも良い? うちでチョット悩み相談とか聞いてあげたいんだ」

 「別に良いけど お母さんとおとうさんは、ちょっと出かけてくるけど・・・」

 「大丈夫 お昼とか別に何か買ってくるから大丈夫だよ」

 「でも啓太がいるからお昼は何か用意しておくね」

 そんな妹と母親の会話がオレの部屋の中まで聞こえてくる。なんかやばい予感するな・・・・妹は絶対オレが家に居るのを良く思わないだろうな。案の定オレの部屋のドアをコンコンと叩いてきた。

 「何か用か?」

 聞く前にドアが開いて妹が入ってくる。

 「ねぇ 今週の土曜なんだけど何処かに行ってくれない? 友達呼びたいんだけど。」

 「何処かって・・・ 部屋から出ないとかダメなのか?」

 「はあ? トイレとかどうするんだよ! もし友達とかに見られたらコッチが恥ずかしいんだよ」

 来た来た来た・・・・この上から目線! 本当にオレって年下から舐められてるよなw さてどう対処するか、妹は絶対に折れないだろうし・・・・なんて考えていると妹は続けて言ってきた。

 「で? 出かけないの? どうなの? 」

 あれ・・・もうオレを排除確定みたいな口調なんだけど・・・・。

 「ほんと! 嫌なんだけど 同じ家の中に居るの。 マジ最悪! とりあえず土曜日家に居ないでね」

 そう言って妹は俺の部屋から出て行った。なんか最後の口調が・・・ねって、案外優しい?w そんな訳無いか・・・しかし土曜日どうするかな。行くところないし図書館? 何時まで妹の友達が家にいるかもわからないのに出かけられるかよ。ちょっと怒りを感じ始めた。

 「うん 土曜日OKだよ さっきお母さんにOK貰ったから~」

 隣の妹の部屋から声が聞こえる。兄のオレの事は何も言っていないな、まああれだけ嫌がってるから友達に兄の存在すら言ってないのかも知れない。

 「何時ごろ集合する? お母さんに昼飯って言って何か買って置いてもらおうかな~一応お留守番! みたいな?してあげるからソレくらい頼んでも良いかも。」

 さすがアノ妹・・・なんて呑気に考えてしまったがオレは? 家から出たらお留守番じゃないし昼飯どうするんだよ! まさか妹が家にいるなって言うから外で外食します! お金ください何て言えないよな。

 「啓太~ 優衣~ ご飯できたよ~」

 母親が台所から呼んでいる。あー食事中に妹と顔合わしたくないな・・・・オレは仕方なく一階に降りていった。妹はもう自分の席に座って母親にさっきの頼み事をしているようだ。

 「ねぇ お母さん 土曜日優衣お留守番してるからケーキとか食べたい。 いいでしょー?」

 「お父さんに言いなさい もうすぐ帰ってくるから」

 「お父さんに言って見る。」

 「さあ ご飯食べましょ 早く食べないと先にお父さんにお風呂入られちゃうよ 優衣一番に入らないと機嫌悪くなるから」

 「いただきまーす」

 妹はそう言って食べ始めた。

 「いただきます」

 オレも後に続いてそう言った。

 心なしか妹は早くご飯を食べようとしているが、時々コッチを見る目には殺意みたいなのを感じる。まあ殺すとかそう言う意味じゃないけど、明らかに母親を見る時とオレを見る時の目が違う。これでココに母親が居なかったらどうだっただろうとか考えるだけでも恐ろしいな。

 「ごちそうさまー」

 妹はそう言って自分の茶碗とかを流しの方に持っていった。そしてお風呂場の方に向う。

 「先にお風呂入ってくるねー」

 「ごゆっくりー」

 母親がそう言った。まあこれで一安心?以前オレとお父さんが先にお風呂に入ったときはマジでやばかった。アレ以来、母親は優衣を一番に入れるようになったんだっけ。

 土曜日の留守番の事をお母さんに言おうと思ったけどやめた。どうせ言ったところで妹がキレるんだろうしそんなの目に見えている。あと3日あるし何か良い方法考えるかな~。

 オレも食器を流しに持って行きそのまま自分の部屋へ。下に居て風呂から出た妹と鉢合わせとかやばいから・・・・オレだって結構気を使ってるんだぜ?妹が風呂を出たらしく階段を上がってくる。まあ風呂上りだしさっきみたいにオレの部屋のドアは叩かないな。 妹が自分の部屋に入ったのを確認してオレも 風呂場に向かう。

 湯船に入りながら今日一日の事を思い出す。花澤さんの事・・・花澤さんの事・・・アレ花澤さんの事ばかり気になるなw カラオケ行って流石にもう帰ってるんだろうな。明日はイベント手伝ってあげないと! それとブラジャーイベント16:00部室 最後に妹の優衣のキレ方・・・・今日は早く寝るかな。

 風呂から上がって自分の部屋に入ると父親が帰ってきた。直ぐに隣の部屋から妹が階段を降りて1階へ。

 「お父さん おかえりなさーい」

 何だかな~結構父親の事を嫌ってる妹だが・・・やはり頼みごとをする時は態度が違う?こんな妹を見てるから・・・ゲームの妹にハマってしまったんだろうなw リアルで妹欲しいとか言うヤツがいたら現実を見せてやりたいぜw

 さっそく妹は父親におねだりをしているようだ。

 「お父さん 今度の土曜日 優衣お留守番すんだけどケーキか何か食べたいな~ 友達呼ぶからちょっと豪華なケーキとか欲しいの」

 何この変わりようw 女って怖いな もしかして花澤さんこんな風になったりするのか?そんな事を考えてしまった。

 「そうだなー 留守番してもらうんだしケーキくらい良いぞ。」

 父さん・・・チョロすぎるぞアンタ!! オレにもそんな優しい所見せてくれよ。たぶんオレがそのような頼み事をしても、啓太お前のあの部屋は何だ!あんな物買って飾るくらいなら勉強しろとか言ってくるんだろうし。ほんと娘には甘すぎだよ。

 さて寝るか!まだ21:00だが今日は早く寝たい気分なんだよ。オレは布団に入り寝始めた。

4月16日 木曜日。

 7:00の目覚ましで目が覚める。すげーな昨日は10時間爆睡していたのか!!人間1時間半単位の睡眠が体に良いらしいんだが、10時間爆睡した俺の体はソレに当てハマっていないのにも関わらずすこぶる調子が良い。制服に着替えて朝飯を食べに一階に下りていく。妹の部屋の前を通る瞬間、土曜日の件が頭を横切る・・・・もう明日。 何か良い方法を考えないと・・・朝から悩み事なんて久しぶりだぜ。

 「おはようー」

 オレは、お母さんにそう言った。

 「あとは啓太だけよ! お父さんはもう会社行ったし、優衣は朝練だってテニスラケット持って学校行ったわよ」

 ふー・・・妹と目を合わせずに済んで俺はホッとしている・・・・マジで朝から病んでるな。朝食のトーストが中々喉を通らないけど、そこはオレの好きなコーンスープで流し込む!! 朝のコーンスープまじ最強!! コレが無かったら今日の朝飯は食べれなかったと断言しよう。

 「ごちそうさまー」

 オレはそう言ってお皿とカップを流しに持っていく。さてと・・・・あとは歯を磨いて学校に行くか!

 「いってきまーす」

 コーンスープのおかげで元気が出た。ちなみにオレのオススメのコーンスープはじっくりコトコトシリーズな!

 駅に向かいながら4人の女子の事をかんがえた。一人目は花澤亜衣、二人目は赤井沙希 三人目は徳井愛 4人目は妹の優衣・・・・

 評価するならば・・・花澤亜衣>>>徳井愛>>赤井沙希>>>妹の優衣 身内が一番したって・・・・下の二人は完全にオレに対して敵意むき出しなんだな。

 上大岡の駅に着く。そのまま改札を通り下りのエスカレーターへ向かって歩き始めた。アレ?何かデジャブ??これ三度目だよな??目の前のエスカレーターに花澤亜衣がいるじゃないか。彼女はまだオレがいることに気が付いていない。スマホを弄ってるっぽいが・・・まさか通学中に妹恋(俺が妹に恋して何が悪い)をPLAY?? なんか後ろから同じ方向に向かうってなんか嫌だな。

 まさか彼女も上大岡から電車で学校に通学しているのか?そんな事を考えていると花澤さんはいつのまにか前の方まで行ってしまった。通学中一緒にいるのを見られたら花澤さんに悪いしこれで良かったのかも知れない。

 金沢八景の駅に着くとオレは時間をずらすためトイレに駆け込んだ。これで少し時間がずれたな。そして今日最初のゲームログイン!! 駅の改札を出て学校まで歩いていく時間はオレのゲーム時間!!

 学校に到着!校門を通り教室へ。花澤さんは先に学校についていたらしく窓際で友達数人と話をしていた。オレは相変わらず誰とも挨拶もせず自分の席に座る。もう花澤さんにゲームばれてるし自分の席でゲームするかな!

 そろそろ8:15、ホームルームの時間だ! しかし先生が来ない。先生が来ないと誰も席に着かないんだな。 先生が来なければこっちもそれまでゲーム時間だぜ。

 ようやく先生が教室に入ってくる。

 「お前らー もうホームルームの時間だぞ! 席につけー」

 遅れて来ても先生は先生だ。 みんな何も言わず席に着き始める。 出席を取り始めようとするが遅れて来て時間を短縮するために休んでいる人の席だけを探す。あーなんかこれって効率良いな。思わず先生のやり方に賞賛を送りたくなってしまった。結果休んでる席は無し!つまり全員出席ってことで。

 ホームルームも終わり1限目の授業までに少しだけ時間がある。さてゲームするか!と思っていると花澤さんがオレの横腹を突っ突いてくる。

 「昨日はゴメンね 沙希って口悪いけど良い子なの・・・・それとお昼時間ある?」

 あー口が悪いと敵意むき出しの子って同じ部類なのか? いや同じなわけないだろ・・・エヴァンゲリオンのアスカみたいに、あんたバカ?みたいな口の悪い子なら許せる!! でも昨日の赤井沙希とかマジでうちの妹並みの殺意むきだしだったぜ?と思いつつも

 「大丈夫 大丈夫 気にしないよ 」

 もう関わりたくないです赤井沙希には・・・。

 「もう昨日4時間コースだったんだよ おかげで喉が・・・・w」

 そう言いながらも花澤さんは周りをすごい気にしている。花澤さんを見る人はいたとしてもオレを見る人はいないから、オレと話していても誰も気が付かなさそうなんだけどな。そして歌いすぎた花澤さんの声がハスキーボイス過ぎて小声で囁いていているようにも聞こえる。

 「お昼に校舎裏のベンチでもいい? 昨日いたベンチ。」

 「OK 購買で何か買ってすぐに行くよ」

 「アッキー 購買行かなくて大丈夫! 私サンドイッチ作ってきたの アッキーの分も!! だから昼休みになったらそのまま校舎裏行こうよ」

 なんと!! 花澤さんの手料理!! 手作りサンドウィッチだと!! どうするオレ!! 人生のライフカード出しちゃう?ちなみにオレ・・・女子の手料理・・・母親とおばあちゃんと小さい頃の妹のクッキー以外食べたこと無いんですがあああ。

 ビックリしているオレを見ながらハスキーな囁きボイスで花澤さんが続けた。

 「私もサンドイッチ作るの初めてだったんだよ。 5時に目覚ましかけて作ってきたんだ。」

 WHY? 今なんて!!朝5時だと?? その時間のオレは爆睡モード中・・・そんな朝早く起きて手作りとは・・・感動しているオレに花澤さんは言った。

 「そろそろ授業始まるよ」

 1限目の授業は国語!! しかしオレの頭の中は英語のWHY?がリフレインしている。WHYサンドイッチ? WHY手作り? WHY早起き? アレ?日本語と英語がフュージョンしてるじゃないか?WHY! W=私 H=は Y=? ダメだ先生・・・授業を聞いてどころじゃないんンゴ!

 今、オレはどんな顔をして授業を受けているんだろう・・・・隣の花澤さんの顔を見てみたいんだが何故か見れない。花澤さんがオレのために手作りサンドウィッチだと。。。。 アレか!!購買に買いに行ってる時間勿体無いからその分ゲームしようって事かも知れない! そうだそれだ!! オレのためじゃなくゲーム時間のためだ!! オレはそう言い聞かせることにした。

 1限目の国語が終わる。2.3限目は体育の時間だ。男子は教室で着替えて女子は更衣室へ・・・・今日の体育はバレーボールか!! 4面コートの2面づつを男女で使う。なぜか花澤さんの姿を探してるオレがいるんだけど。そして見つけた瞬間花澤さんと目が合った・・・・・。そして二人とも直ぐに目をそらした。 あれ? オレ何してるんだ?

 「男子 こっち集まれー チームつくるぞおお」

 先生が叫んでいる。とりあえず集まるか。

 「4チーム作れるから適当に作れ! 」

 先生はそう言ってるが既に3チームが出来上がってる。 当然オレは余り者の6人でチーム完成。早く授業終わらねーかな。体育の授業が始める前から思っていたが、今この瞬間その気持ちが100倍に膨れ上がった。

 「お前らAチーム はい そこBチーム んでCチーム 最後Dな」

 最後のDチームです。省略されたDです。 チーム省かれましたDです。まあこんな扱い受けると人間心がずさんに成っていくんだなと高校2年生のオレは思いました。

 「総当たり戦のリーグ型式で行くぞー 15点勝負なー」

 「AチームとBチームは、コッチのコートで」

 「CチームとDは向こうでだー」

 あーまた省かれてるよD・・・ Dってダメなチームって意味なのかもな。多分0勝3敗 バレボールにコールドゲームは無いと思うがそんな感じの結果になるぞ。 Dのオレが断言するから間違いない。やはりオレの予想は当たった・・・・0勝3敗 3試合で奪った点数5点 トータル5-45であった。

 2.3限目が終わり4限目は数学か・・・また教室で花澤さんと会うのか。しかしオレの中ではサンドウィッチ=時間短縮の定義なのである。確かサンドウィッチも何処かの伯爵がゴルフか何かの競技時間を有効に使うために考え出した料理だったはず!! という事はつまり花澤さんは現代のサンドウィッチ伯爵なのである。

 教室に戻り着替えていると男子の一人が花澤さんの席にやってきた。何をするのかと見ていると椅子の匂いを嗅いでいる。

 「なんか温もり感じるんですけど~」

 いや断じてソレは無いだろう・・・80分以上花澤さんはその席に座っていなかったんだぞ。 ソレなのに椅子に温もりが残ってるってヒーターでも付いているのか?この椅子にはと突っ込みたくなったが黙っていた。変に突っ込みを入れてやぶ蛇どころの騒ぎじゃなくなる可能性もあるからな。とりあえず着替えが終わったオレ直ぐに教室を出た。席が隣で羨ましいとかモブの癖に花澤さんの隣とかあーとか言われるのが目に見えているからな。

 適当に廊下の窓から下を見ていると着替えの終わった女子達が戻ってくる。その中には花澤さんもいた。そしてオレの脳裏に一つの光景が思い浮かんだ、それは先ほどの男子が椅子の匂いを嗅いでいる姿を花澤さんに見られると言う光景だった。彼は多分花澤さんが好きなんだろう好きな娘の匂いをかぐと言う行為は本能的にありなのかもしれないが・・・実際やられた本人は気持ちが悪いだろうな。

 女子達が教室に入っていったが叫び声もしなかったのでそれうぁ無かったんだなって思った。ちょっと残念なオレがいる。

 さてそろそろ4限目なので教室に戻るとするかな。教室に戻ると花澤さんは席についていた。

 「おかえりー」

 なぜか花澤さんが声をかけてきた。 ちょっとビックリ! 緊張したのかオレはペコっと首を下げて返事をするとそのまま自分の席に座った。この場合キチンとただいまーって返した方がよかったのかな?人の目が気になるオレには難儀なんだが。

 4限目終わったーーーー!!! そして花澤さんの方を見る。花澤さんは何故かすごい目を見開いたまま無言でうなずく。そして先に行ってと言いうような素振りをして見せた。 オレは軽くうなずいてそのまま教室を出て校舎裏のベンチへ向かう。多分先ほど花澤さんが見せた目を見開いた状態なのかもしれない。気が付くと口もギュッとエグボを作るような感じになっていた。

 校舎裏に近づくとにつれそこはかとなく周囲を見回す。いつもどおり誰もいない場所である。ベンチに座ると直ぐに花澤さんがやってきた。通学の時のリュックをそのまま持ってきてるけど、あの中に時間短縮サンドウィッチが・・・・・・

 「アッキー 先に食べよっ」

 リュックからラッチバックの入れ物を出しながら花澤さんは言う。

 「えーと アッキー 紅茶飲める? というか紅茶しかないんだけど」

 「うん オレ結構紅茶家で飲むよ」

 「よかったー 他に飲み物が思いつかなくて・・・」

 「今入れるね」

 「ありがとうー」

 「あっ どうしよう・・・・」

 「どうしたの?」

 「コップ 魔法瓶のフタしかなかった・・・・」

 「花澤さん オレいいから 花澤さん飲んでよ」

 「ダメ! アッキーの為に入れてきたんだから 飲んで」

 「でも・・・・」

 「じゃあ アッキーそっち側口付けて飲んで 私こっち側口付けて飲むから・・・それなら問題ないでしょ?」

 これって・・・いや同じ側で飲まないから間接キスじゃないが 一歩間違えたら間接キス?恋人でもなんでもない男女が同じコップで飲み物を飲む行為を何て言うんだあああ??

 そんな事を考えていると花澤さんがサンドウィッチを広げてくれた。

 「本当に 本当に 初めて作ったから味分からないけど・・・」

 なんかすごい泣き出しそうな表情で言う花澤さん。

 「まだ自分では味身もしてないんだ 朝作っていたら作っているだけでなんかお腹一杯になっちゃって・・・お母さんに味見をしてもらったら グー!って言ってもらえたんで多分大丈夫!」

 オレの目に一番最初に入ってきたのはツナモヨネーズコーンのサンドウィッチだ! そうオレはコーンが大好きなのだ。そしてガブッと口の中に入れる!心配そう大きな目でオレを見つめる花澤さん。

 「うまし! あっ 美味しい! 」

 なぜか・・・うましっとか訳分からん言葉が出てしまったんだが、それくらいの感じで美味しいと思った。

 「花澤さん 美味しいよ オレ、コーン系のサンドウィッチとかマジで大好きなんだ コーンが目に入った瞬間速攻で掴んで食べてたよ!」

 「いや 本当においしい!!」

 花澤さんが泣いてるように見えたけど必死にこらえているのかな?あんまり見るのもすごい悪い気がしたのでサンドウィッチに集中しながら食べていた。勢い良く食べたのかちょっとむせた瞬間、花澤さんが紅茶の入ったカップを手渡してくれた。

 「ありがとう ちょっとむせちゃったよ」

 「そんな焦んないでよ 結構沢山作ってきちゃったから」

 「私も食べるね やっぱりコーンの入ったツナマヨが一番良い?」

 「うん 全部美味しい!! でもツナマヨコーンが一番かな」

 「じゃあ 今度作る時は全部ツナコーンマヨにしちゃおうかな」

 !! 今度作る時は全部ツナコーンマヨだと?? 今、確かにそう言ったよな・・・花澤さん。次もあるって事?? どういう事だ??考え事をしながら紅茶を飲んだら花澤さんが飲んだ側で飲んだらしい。

 「あっ アッキーそっちは・・・・」

 「えっ あっ! ゴメン なんか拭くものある? 拭かないと・・・花澤さんの方で飲んじゃったよ」

 「べっ 別に大丈夫だよ 私は気にしないよ? 普通にただの間接キスだし ファ ファーストキスとかじゃないから」

 さっきまで泣きそうな表情だった花澤さんが今度は少し下を向きながら目を伏せている感じだった。

 「ゴメンナサイ 本当にゴメンナサイ サンドウィッチに全集中しすぎたああ」

 「謝んないでよー 全然気にしないから それよりサンドウィッチに全集中って」

 今度はクスクス笑い出す花澤さん。この人表情すごい変わるなーしかもこの人全然メイクとかしてない! メイクしていたらさっきの涙で大変な事になっていたかもしれないな。こんなオレでも女の人がスッピンかメイクしてるか分かるぞ! いまどき珍しい女子だよなー 思わず言ってしまった。

 「花澤さんてメイクとかしてないよね!なんかクラスとかの女子ほとんどメイクしてるのに花澤さんしていないなーって思っていたんだよね」

 「私? メイクしないよ 化粧水くらい? だって面倒くさいじゃん しかもメイク落とさないと寝れないし そんなの無理! 私には出来ないよ」

 「ちなみにオレも化粧水はしてる 化粧水男子!」

 「アッキー 美意識高い系男子なの? でも色白いし肌はきれいだよね」

 学園一のアイドルにほめられて嬉しがっているヲタクDTがここにいるが、まあ気にしないでくれ。

 「何で化粧水とかし始めたの? 今の男子とかしてるのかな?」

 「あっオレは・・・妹にムカついて妹の化粧水を使ってやろうと思ったのがきっかけかな?」

 妹と聞いた瞬間、花澤さんの目が光った! いや瞳孔も開いたのをオレは見過ごさなかった。

 「ちょっとまって! アッキー妹いるの? 聞いて無いんだけどー なんで言ってくれなかったのー?」

 いや、そもそもオレにとってリアル妹はいない方が良い存在なのである。オレに対して殺意しか持っていない妹なんてこの世から消えて欲しいくらいの存在だからな。

 「いや リアルの妹なんてろくな者じゃないよ あれは悪魔だ」

 「じゃあ 妹頂戴! アッキーの妹頂戴!!」

 「いやそれは無理だろ・・・ うちの両親オレの妹溺愛してるし オレを手放すことが合っても妹を手放すことは万に一つも無いとおもうぞ」

 「可愛い?」

 「さっきも言わなかったか? あれは悪魔だって!」

 「写真とか無いの? ちょっとアッキーの妹見てみたいんですけど」

 「写真なんて撮ったらオレのスマホ破壊されるわ。そしてシャッターを押した指折られるぞ」

 「アッキーの妹何歳なの? 」

 「今、中学2年生だな」

 「ふーん 絶対可愛いじゃん」

 「悪魔だ!」

 そんなうちの妹の話をしていたらいつの間にか昼休みが終わってしまったのである。あれ?本来の目的のイベントが・・・・またお預けか。

 「アッキーが妹の話するからイベント出来なかったー」

 「ごめん・・・・おれはいつでもOKだ 手伝います。」

 「じゃあ放課後・・・お願いしようかな 今日は五限までだから帰りに声かけるね」

 「うん それとごちそうさまでした! 本当においしかった!」

 「お粗末さまでした。 アッキーは向こうから行ってね 私はコッチからいくから」

 まさか花澤さんうちの妹に興味を示すとは・・・・だがアイツはやばい 本当にやばいから絶対に合わせられないな。何より花澤さんがポロッと口を滑らして、俺が妹に恋して何が悪いなんてゲームをしていることが妹にバレタら、あの家から追い出されるかもしれない。

 教室に戻ったが花澤さんはまだ戻ってきていないようだった。

4月16日 放課後

 五限目の授業が終わり帰宅前のホームルーム ふと隣の花澤さんを見ると何かすごい気分が良さそうな雰囲気をかもし出している。待ちに待ったパンツ獲得イベントだからなのか! それともオレのリアル妹を知ったからなのか! みんな帰る支度や部活に行く準備を始めるなか、花澤さんがハスキーボイスで囁いてきた。

 「アッキー どこでする?」

 お前ら変な想像をするなよ 清く正しい高校生だぞ! しかもオレはDTだ!なのでここは普通にゲームをどこでするの意味だぞ。

 「学校内はまずいよなー 校舎裏は確か放課後弓道部が使用してるんだよね」

 そして今日も部活に顔を出してブラジャーイベントをしなければならないのである。さすがに花澤さんをあの部室に連れて行くのは・・・・考えても時間だけが経過していく。

 「マックとか何処か行く? 金沢八景から離れればうちの学校の生徒もあまりいないし大丈夫じゃない?」

 いやあまり学校から離れるとアニメ研の部室に戻れなくなる!! ブラジャーイベントは最低5人必要。オレが参加しなかったらその時点でイベントはクリアー無理なのである。こうなったら一か八か花澤さんをアニメ研の部室に連れて行くしかないな。 オレは花澤さんにこの事を伝える事にした。

 「花澤さん 実は16:00からブラジャーイベントに参加しなければいけないんです。 オレ。」

 「えっ? ブラジャーイベントって最低5人いないとクリアー出来ないイベントだよね? アッキー参加してるの? 」

 「うん 今回1回参加して今日2回目しようと思っていたんだ。」

 「他に妹恋PLAYしてる知り合いいるの?」

 「うん アニメ研って言う部室でやっているんだけど・・・・結構やばい部室だから花澤さんには無理かなって思って。」

 「私、全然気にしないよ!! むしろブラジャーイベント参加したい!! ブラジャーのイベントとか絶対無理ゲーって思っていたし 参加できるならどんなところだって行くよ!」

 「本当に? アニメ研本当にやばいけど・・・・」

 「アッキーのヤバイとか当てにならないし! アニメの裸のポスターとか貼ってあっても驚かないよ?」

 「まあ確かに貼ってあるな・・・なら大丈夫かもしれない。 あと部室に入る時はドア全開にしないでね。部室なの様子とかポスターが外部の人に見られて廃部処分とか困るので。 それだけお願いします。」

 「アッキーと知り合えて良かったー! まさかブラジャーイベントまで参加できるなんて!! アッキーマイクロビキニだしたの?」

 「まだマイクロビキニは誰も出してないな。あんなのレア中のレアでしょ! 出る気がしない。」

 「今ちょっと部長にLINE入れるね。 部外者一人参加させて良いか。 ほぼ100%OKだと思うんだけど一応確認は入れておかないといけないから。」

 そう言ってオレは部長にLINEを入れてみた。 一人部外者部室に連れて行きたいんですが宜しいでしょうか? ブラジャーイベント参加希望です。 直ぐに部長からのOKが返信されて来た。

 「花澤さん OKでましたよー 一応聞きますが場所とかわかります?」

 「あそこだよね。 裏門脇の2階建ての部室みたいなところ」

 「合ってます そこです!!2階の入り口から入って直ぐ右側です。とりあえずバラバラで行きますか?オレも先に行って入り口で待っているので」

 そう言ってオレは先に教室を出て部室に向かって歩き始めた。間もなくして周りをキョロキョロしながらやって来る花澤さん。オレは二階の入り口から叫んだ。

 「こっちですよー」

 花澤さんは直ぐに気が付き小走りで階段を上がってくる。ここに来るのは初めてらしいけどとりあえず部室の入り口を指差して言いました。

 「花澤さんマジで覚悟は出来てますね!」

 「多少のことなら大丈夫だよアッキー」

 一応周囲の確認!演劇部員や他のクラブの女子がいない事を確認した後部室のドアを開けた。

 「おはようございますー」

 「おはようございますー」

 「おはようございますー」×4

 敢えて省略しても良いよな!!

 驚いたのは花澤さんより中にいる豚小屋ファミリーの部員達である。この場に一番不釣合いな人が一名いるんだから。おはようございますーの言葉の後に出てきたのは・・・ えっ? えっ? えっ? であった。まあ前回はブラジャーだけに今回の えっ?はまだ良いのかな?

 ほんと!みんなメンを食らったような顔で花澤さんを見る。次にしゃべったのが女子部員の徳井だ!

 「アッキー先輩 彼女出来たんですね!」

 おい!!徳井!!何て事を口にしてるんだ!!そんな冗談言いう場面じゃないぞ!!空気読めよ!空気を!! まあ空気読めない女だからこのアニ研にいるんだが・・・・ あーもうどうするのこの静まり返った雰囲気!!部長も副部長もむこうを向いて何かやり始めちゃったぞ!! 花澤さんの顔なんて見れないか!! どうしてくれるんだよこの女子は。

 そんな静けさを打ち破ってくれたのは花澤さんだった。

 「あはは どうなんだろうね? 薄井君?」

 花澤さん・・・そこからオレに話題を振る? どう答えれば良いんだよ!! クソ徳井め・・・・オレもあはははっはって返しておけば良いのか?そして誰に振る? 振る相手いなジャン!!とりあえず・・

 「あははっははは・・・どうなんだろうね? 薄井君?」

 シーーーーン まじですさまじい沈黙が。やっと正気を取り戻した星野部長が断ち切って切れた。流石部長3年生ってコトだけはある。

 「ようこそ 花澤さん 我がアニ研へ」

 星野部長・・完全に私物化していないか? 我がアニ研へって。 まあアノ部長がいなかったらとっくに廃部になっていたかもしれないので今回は許してあげるか。

 「花澤先輩って去年のミス桜花になった人ですよね!!」

 それは誰でも知っている・・・・まあ徳井今年一年で去年はいなかったから聞いたのかもしれないが、今年の一年生で知らない人はいないだろう。歴代高校一年生でミス桜花に輝いた人はいないと言う。そして何より彼女はJKの中では絶賛人気のファッション雑誌CUTE17のモデルでもあるのだ。

 「昨年選ばれた花澤です 」

 まあそう答えるしかないだろうな。そして徳井がまた直ぐに質問をしてくる。

 「妹恋やってるんですか?」

 「うん やってるよー」

 だからココに連れてきたんじゃないか。

 オレがココにつれてきた経緯を説明をしてあげる。彼女は今までソロでPLAYをしていた。レベルは今69。どうしてもイベントの商品パンツとブラジャーが欲しくてオレにお願いをしてきた。

 「よろしくお願いします。」

 花澤さんは深々と頭を下げる。こんな彼女の姿みたら協力してあげないとって思ってしうまうよな。

 そして部長が言い始めた。

 「とりあえす立っているのも難だし、座る席を決めようか!」

 「徳井はそこだな お前はそこ以外座りたがらない何故だか分からんが椅子が回転するからか?いつも回転しながらゲームしてるもんな」

 「次アッキー徳井の横 これもいつも通りだ。徳井が回転し始めたら止めろ! それがお前に与えられた任務だ。」

 「次は部長の俺はここ まあ誕生日席だ。」

 「次は徳井と薄井のテーブルを挟んだ対面にこっちから倉井・花澤さん・副部長という順番に座ってくれ 以上」

 「16:00まであと20分あるから適当に時間をつぶそう」

 星野部長はそう言い何か絵を描き始めていた。部長の絵は結構本格的なんだよな。以前聞いた事がある。

 「美大系とかには進学しないんですか」

 「俺もコミュ症なんだよ 絵とか描いてる分には一人で良いが大学とかサークルに参加など色々あるだろ? 俺には無理なんだ」

 そんなことを言っていた記憶がある。だからああやって誰も見てないようなところで黙々と絵を描いているのかもしれない。

 「よし そろそろ時間だ! みんなここのステーションにアクセスしろよー」

 「花澤さんステーションにアクセスのやり方わかりますか?」

 ステーションとか基地みたいなものである。学校とか色々な名所がそう言ったステーションと呼ばれる基地になっていてその中に入ったものはPTを組まないでもイベントダンジョンに参加できるのだ。だから遠く離れた人は参加が出来ない。必ず基地の範囲以内に集まらなければ成らないのである。

 「おい 副部長教えてやれー 」

 「 花澤さん MAP開いてもらえますか? このい左上のマップをタップ」

 「はい タップしたら地図が出ました! 」

 「そしたらMAPの真ん中にある赤い船みたいなのをタップ タップしたら参加と表示されるので、参加を押してください それで完了です。

 「出ましたー 参加押したら完了になりました。 参加者の名前とか出るんですね!」

 「OKグッジョブ!! グッジョブ!!」

 突然英語化するうちの部長

 カッコイイと思ってるのか?わからないが OKとかグッジョブしか言わねーんだよなw

 「後はオートで勝手に進んでいくので弱い人は画面の一番下まで下がっていてください」

 「働けよ! 薄井! お前が一番戦闘力高いんだからな。」

 「大丈夫 大丈夫普通にオートでもクリアーできるからボスの時だけ下に逃げていてね!」

 congratulations

 「みんな箱貰えたかな? 」

 「もらえましたー」

 「おつかれさまでしたー」

 花澤さんボックス貰えましたか?部長が花澤さんに聞いてみた。

 「貰えましたー 初めてのイベントボックスです! ありがとうございますー!」

 「おおお 初めてか! おめでとうー まさか一発でマイクロビキニ出しちゃうかもしれないぞおー」

 「開けますねー ! ムラサキのブラジャー! なんかちょっとエッチなやつですね!」

 「ムラサキも何気に人気あるんだよなー」

 徳井がクルクル回りだす。結構揺れるんだよなwまあ部室も古いし遅かれ早かれ立て直すのも時間の問題だな。

 「アッキー君 アッキー君 君の出番ですよ~ 早く止めろよ 徳井を止めろ!」

 「おい 徳井! 回転するのも良いけど お前時々オレに胸を押し付けてこないか?」

 「いやだな~先輩 人を痴女呼ばりしないでもらえませんか? こう見えて私 聖女なんですから」

 「そういえばどこぞのアニメでは口の悪い聖女とかいたな。」

 「おい 徳井 それ以上押し付けるな 胸だ 胸!」

 ムラサキのブラジャーをゲットして色々着せ替えをしておとなしいのかと思っていた花澤さんが何故かこっちを見て睨んでいる。すると徳井がオレの耳元で呟いた。

 「花沢先輩の視線怖いんですけど・・・私がアッキー先輩に胸を押し付けるとメチャクチャ睨んできます!」

 オレも回りに聞こえないように徳井の耳元で呟く。

 「いい加減止めろ。 花澤さんの怒りがお前の胸に向けられるだけならいいが、こっちにまで火の粉を撒き散らすなよ!」

 なんか花澤さんイライラしてないか!まじちょっと怖いんですけど、副部長と倉井さんさっきを感じて少し離れてるよ。

 「えーと 花澤さん アレしませんか? パンツイベント! ちょうどココにテーションあるし中に入ってもらえればそのままスタートしてボス倒しちゃいますんで」

 「うん やる いま参加完了押すね」

 そう言う花澤さんの顔を見たけど何故か無理表情の花澤さんだった。花澤さんの方を見ても目も合わせてくれない。そのままオートで進んでボスをクリアー!

 「花澤さんボスの後ろの箱開けてください」

 「うん ありがとうー」

 テーブルの上に視線を落としたまま返事を返す花澤さん。 やばいなんか怒ってるマジで怒ってる。

 「ブラジャーイベントも終わったし今日はもうお開きにするか? 土曜日・日曜日は学校が休みだから実質明日がブラジャーイベント最終日となりますが・・・ 明日もやりたいと思います。 部員は全員強制さんかな!! でっ 花澤さんは明日どうしますか?」

 星野部長が花澤さんに聞いてみた。花澤さんは即座にさん答えた。

 「参加したいです!! よろしくお願いします!!」

 「OK OK じゃあ明日も15:30分ぐらいに部室に集合って事で本日は解散したいと思います。 お疲れ様でしたー」

 「お疲れ様でしたー」×5

 オレはすかさず花澤さんに話しかけようと身を乗り出そうと移動をした瞬間、徳井が俺の前に出てきた。俺の左手が・・・・徳井のブレザーとワイシャツの間に・・・・入り込み胸を掴むような格好に。

 徳井がキャッっと声を上げる!みんなが何事かって感じでこちらを見る。俺の左手が徳井の胸を揉む感じになっている・・・

部長が呟く。

「お前ら何やってるんだ! ここは部室だぞ!! しかも徳井! お前彼氏いるだろ!!薄井は花澤さんの」

 部長の呟きをかき消すかのようにオレは叫んだ。

「えんだあああああああああああーーーーーいやああああああああああああああああああああ~~」

 その後の歌詞は知らない・・・ホイットニー・ヒューストンのあの有名な歌だよ そうボディーガード!とっさに思い浮かんだのがこの曲ってオレはおっさんなかな?w花澤さんは後ろ振り向かないでそのまま入り口から出て階段を駆け下りていってしまった。

 「先輩! いつまで腕突っ込んだままなんですか? セクハラですよ? 訴えますよ?」

 ちょっと真顔でオレに言ってくる徳井。

 「ゴメン・・・立ち上がって向こうに行こうと思ったら、お前がいきなり立ち上がってきたんだよ。」

 「知ってましたよ! 先輩が花澤さんの方に行こうとしていたの。 だからわざと前に飛び出したんじゃないですか。」

 ちょっと悪魔のような微笑を浮かべながら言う徳井。

 「お前 ふざけんなよ! 絶対 花澤さん勘違いしてるぞ!! どうしてくれるんだよ?」

 「もしかしてアッキー先輩ってミス桜花と良い感じにぃ~とか思ってたりしませんか?」

 「いっ いけないか? 花澤さんやさしいし良い人なんだぞ!」

 「本当 男って騙されやすいな~ 二人っきりの時にちょっと涙ぐんだり、頬を赤くして恥らったりするしぐさしてませんでした?」

 やばい・・・・お昼休みのアレがオレの脳裏に蘇る。二人っきり、涙ぐむ、間接キス?頬を赤くする・・・徳井の言ってる通りじゃないか!!オレは騙されているのか?あの聖母みたいな花澤さんが悪魔みたいに人を騙すのか??やっぱり女ってわからないな・・・・目の前にいる徳井ですら色々豹変しているし。

 「DTなオレにはわかならい なあどうしたら良いと思う? 徳井?」

 「先輩って私のいう事は信じちゃうんだ。」

 「いや信じるとか信じないとかそう言う問題じゃないんだ」

 「私がちょっと花澤先輩に意地悪してみたとかっては思わないの?」

 「なんで徳井が花澤さんにそんな事する必要があるんだ? 全く関係ないじゃないか?」

 「男には分からないかな~ ミス桜花みたいな人がなんでアッキー先輩みたいなヲタクに優しくしたりしているのか興味があったの。 普通ありえないでしょ? 絶対何かあるって思うじゃん」

 「それで徳井は何か分かったのか?」

 「直ぐわかったよ! 花澤先輩こと もうバレバレ 」

 「教えろよ 徳井! 頼むよ」

 「自分で気づきなさいよ! これだからDTなのよ!」

 「いや 今DT関係ないだろ! てかDT DT言うな!」

 「じゃあ最後にヒントこれ以上は自分で解決してくださいね! 私がアッキー先輩に胸を押し付けてた時、花澤先輩はどうしていましたか! 以上」

 そう言って徳井は駆け足で部室から出て行った。徳井は彼氏がいるし多分オレよりこういう事に対する知識はあるんだろうな。部室に残っているのは星野部長とオレだけである。戸締りがあるのでオレが先に出る形になる。

 「お先に失礼します。」

 軽く部長の方を向いて会釈をして部室を出ようとすると部長がオレに言って来た。

 「明日のブラジャーイベントに花澤さんが参加しなかったらイベントは中止だ。なぜ花澤さんが怒ったのかちゃんと理解し二人で部室に来い 以上だ。」

 やばい全然わからねーヒントは徳井の私がアッキー先輩に胸を押し付けてた時、花澤先輩はどうしていましたか!これだけだ!胸! 胸! ブラジャー!!

 「何だよ 胸ってえええ 胸がどうしたんだ!!なんだよこの二日間で悩みが二つになったぞ! 明日になったら3つとか増えるのか? ストレスでマジ禿げるぞ!! ゴルアー」

 学校の校門を出て汚い川を見ながら駅に向かって歩いていった。本当にこの侍従川は汚い!!川に序列を付けたら俺なんかこの川ぐらい底辺なのかもな。少し歩いていくと白い鳥が水面に浮いている。こんな汚い川にもキレイな鳥が来るのか! あれ? 汚い俺 キレイな花澤さん・・・とりあえず謎解きはファミマのチキンを食べた後にするかな。

 コンビニでチキンを買いそのまま食べながら駅に向かう。明日の15:30分までの問題 19日の日曜日の問題。押しつぶされそうだ。。。。。とりあえず駅に着いた改札を通ってホームに早く帰りたくない時に限ってちょうど特急が来る。10分後にはもう上大岡の駅か・・・・・

 何事も無く電車を降りホームから一階に続く階段を下りて行く。あれ?これは・・・・4度目なのか!! 階段の中段付近を花澤さんが降りている。一瞬悩むオレ・・・・・でも4回も同じことが起きるなんて相当な確立だよな?こういう偶然はチャンスなのかもしれない!!オレは階段を駆け下りて行き花澤さんの真横まで来た!普通に話しかける? 肩を叩く? いやもうアレしかない!! 毎回花澤さんがオレに話しかけて来る時の方法、わき腹を突っ突く!!これだ!!

 「キャーーーーっ」

 かなりの悲鳴が響き渡る! 階が丁度トンネル状だったからなのか!悲鳴を聞いて周りのみんなが一斉にオレの方を見る!!突っ突かれた花澤さん・・・・・階段の中段でしゃがみ込んでいる。やばい!!これってかなりやばくないなんか犯罪者を見るような視線がオレの全身を突き刺す!

 「花澤さん!」

 「花澤さん!」

 気が動転しているのか花澤さんはまだしゃがみ込んだままである。数人の男の人たちがオレの方に近づいてくる、やばい本当にヤバイ・・・・これじゃあチカン扱いになるかもしれない。

 オレはもう一度花澤さんの名前を呼んでみた。しかし花澤さんは立ち上がらない。とうとう3人の男の人達に取り押さえられてしまった。もうダメだオレの人生終わった!! あれ?そういえば花澤さんとの最初の出会いもこんな感じだったな・・・・ なんか走馬灯のように脳裏を横切る

 「駅員さんを呼んできてくれー あと警察もお願いしますー」

 オレを取り抑えている男たちが叫んでいる。そうだ最初は妹ゲームの着せ替えを見られた時だったんだ。こんなチカン騒ぎの犯人扱いに比べたら全然たいしたこと無いじゃないか!! オレの人生こんなもんだったんだな。彼女も出来ずDTのまま・・・・生き恥を晒して生きていくのか!

 「アッキー? ちょっとびっくりしてコンタクトずれちゃったじゃない! 危ないから階段下りてる最中にわき腹なんて突っ突かないでよ!」

 オレを取り押さえていた男たちが手を離す。見物人たちもなんだなんだとざわつき始める。駅員さんが花澤さんに話しかけている。

 「お嬢さん この男子高校生はお知り合いですか?」

 「はい クラスメーです。 ビックリしてコンタクトがずれたのでしゃがみ込んでしまいました。ずれると怖くて階段が下りられなくて。」

 オレは息を思いっきり吐いた! 助かった本当にもう人生終わったと確信していたからだ。そんなオレ対して花澤さんは顔を近づけてこう言った。

 「私まだ怒ってるんだからね!このままアッキー捕まっちゃえって思ったけど、ちょっとそれは可哀相かなと思って取り押さえられるまでしゃがみ込んでたの」

 2回目の絶対的危機も花澤さんマジックなのか! まさか3度目もあるのか?なんか嫌な予感しかしないですが。花澤さんがオレの方に右手を伸ばしてきた。

 「まだコンタクトずれてるから手をつないで降りてくれない? 片方のコンタクトずれてると遠近感が無くなって階段怖いの」

 オレは早くこの場を立ち去りたい気持ちもあったし花澤さんの右手を掴んだ。そしてゆっくりと階段を折り始める。花沢さんの左手は中央の手すりを掴み、右手はおれの左手を掴んでいる。これなら転ばないで降りることが出来そうだ。階段を下りて一安心左手を離そうとしたら握り返してきた。

 「コンタクトずれてるからトイレのほうまで付いて来て、元はと言えばあっきーが驚かしたからこうなったんだよ! 最後まで責任とってよ!」

 確かに仰るとおりです。オレは言われるまま女子トイレの前まで花澤さんを連れて行った。

 「花澤さん トイレに到着したよ。 あとは一人で行けるよね? オレここで待ってるからさ 流石に女子トイレには入れないぜ?」

 花澤さんは軽くうなずいて女子トイレの方に。 いやチョット待て! 手離さないんだけど・・・

 「花澤さん! 無理! それマジ無理! 今度こそ本当にチカンに間違われて捕まっちゃうから!!」

 それでも花澤さんはオレの手をグイグイ引っ張って女子トイレの方に行こうとする。花澤さんの体はもう45度くらいの角度、無理やり手を振りほどいたら絶対に転んでしまう。どうしたらいいんだ?このまま女子トイレに入っていくか?花澤さんはオレを試してるのか? それともさっき言っていたまだ怒ってるから仕返し?? わからねーよ!

 「花澤さん? 花澤さん? 」

 2回名前を呼んでみた。しかしオレの気が緩んだのか花澤さんは二歩ほど前に進む。左手が入り口の角を掴んだみたいでより一層の力が女子トイレの方に向く。

 「花澤さん! 花澤さん!」

 また呼んでみた。また一歩女子トイレの方に前進する。振りほどいて怪我させるくらいならオレが女子トイレに入るよ。そう思いゆっくり花澤さんの方に近づいていく、勢いよく前に出たらそれはそれで花澤さんが転ぶ危険性があるからだ。

 「わかった 花澤さん オレも女子トイレに入る だからもうそんなに引っ張らないでいいよ」

 あと一歩?いや靴の先は女子トイレの敷居を越えたかな? その瞬間花澤さんがオレに抱きついてくる。え? 何事オレ女子に抱きつかれてる?花澤さんの頭部が俺の鼻の下にぶつかる。なんかすごい良い匂いコンディショナー?トリートメント?オレが鼻息を荒くして匂いを嗅いでるのがばれたらしい。

 「アッキー 匂い嗅ぎすぎ セクハラだよ」

 花澤さんが呟く。

 「アッキーが手を振りほどいたり、私を突き飛ばしたらそれだけの人なんだなって思って全身全霊の力を使って引っ張ったの! もう腕が千切れそうでいたいからマッサージしてよ!」

 なんと言う無茶振り! 本当に手を離したらマジで顔から床に突っ込んでいたレベルだぞ!この人どんだけムチャクチャなひとなんだよ。

 「だって私 アッキーの事信じていたから! 絶対に手を離さないって!」

 「オレをそんな信じ何かいい事でもあるのか?」

 「愛とか無いと普通に思いっきり振りほどくらしいよ?」

 いやいやいやあんまり知らない人とかだったらオレだって振りほどくぞ?でも花澤さんは振りほどけなかった。この人って多分正直すぎる人なのかもしれない。何となく徳井が意味が分かった気がする。だがしかしその答えに対する回答をどう伝えたらいいんだろ・・・

 オレは花沢さんの右手をマッサージしまがら頭の中で整理する・・・・徳井の胸を押し付けられたオレは多分少し喜んでいたのかもしれない。いや胸を押し付けられて喜ばない男はいないぞ!!まあそれは置いておいて。徳井は花澤さんを挑発したのかな?そんな徳井を見てもオレは強く怒らなかった。その頃か花澤さんオレと目を合わさなくなっていたな。嫉妬なのか?否!?

 そしてオレが導き出した答えはコレだ!!直接花沢さんに言って謝罪するしかないな。

 「花澤さん さっきはゴメン!」

 「何に対して謝ってるの アッキー」

 「部室でのことに対して謝りたいと思うんだ。 」

 「あー 部室ね! 本当にあれは最低 マジでムカついたんだから 何あの子相当勝ち誇った顔でずっと私のことみていたんだよ?」

 「本当にゴメンなさい。オレがもっと止めろって強く言えばよかったんだ。中途半端に止めろ 止めろって言っていたら徳井の奴ドンドン胸を押し付けてきて、多分オレも鼻の下伸びていたのかもしれない。 花澤さんがオレと目を合わせなくなったのも分かったんだけどもうどうして良いのか分からなくなっちゃっていたんだ。」

 「めっちゃ伸びてたよ! もう気持ち悪いエロ親父みたいな顔になっていたし」

 「ごめんなさい。もうおっぱいに近づきません。」

 「ふーん もう近づかないんだ!」

 「えっ 近づいて良いの?」

 「自分でもう近づかないって言ったんだから近づいちゃだめです!

 「う。。。」

 「許してくれますか!」

 「もういいよ 許す!」

 「良かった・・・帰り際に部長から言われたんだ。明日、花澤さんと二人で部室に来なかったらブラジャーイベントは中止ですって。」

 「アッキーじゃなくて星野部長さんに感謝しないとね」

 やっと一個の問題が解決した、残りは土曜日の問題が残っている。現在16日の夕方・・・タイムリミットまで残り二日ちょい!! どうする啓太!!!人生のライフカードだすか?w

 花澤さんとLINE交換

 「アッキー マック寄って行かない? もう17時30分だからうちの学校の生徒もいなさそうだし。 それに上大岡ってあんまりうちの生徒見かけないよね」

 そう言いながら花澤さんはオレの左手を掴んでマックの方に向かって行った。

 「アッキー コーヒーで良い?」

 「うん コーヒーで」

 「砂糖とミルクはいる?」

 「ブラックで!」

 ちょっとカッコウ付けて言ってみた。実際どうなんだろう? 砂糖とミルクいる?って聞かれてブラックで!は答えなのか? それとも両方イラナイって答えるべきなのか。 教えて恋愛デートマスター様!

 「頼んでくるから席取っておいてね」

 「OK」

 2人座れる席を発見! 片方はソファー・・・片方は椅子 さてどっちに座るべき?とりあえず女性にソファーの方に座っても貰おうかな? ベストアンサー教えてください!!恋愛マイスター様!

 花澤さんがコーヒーを持ってくる!

 「コーヒー100円安くない? しかもずっと席に座っていられるしWIFIだって無料で使えるんだよね。コンセントあるところだと平気で3時間とか居ちゃうんだよねー」

 やばい・・・マックとか最後に入ったのは何時だ!! 親と入った?小学校の時?花澤さん一人でマックとか入れちゃうタイプなのかな? ちょっと聞いてみようかな・・

 「花澤さんて一人でマックとか良く来るの?」

 「え? 普通に一人で入ってるよ! なんで? アッキーはマックとか来ないの?」

 やばいなんて答えよう マックなんて7年くらい入ったことが無い! しかも親と一緒とか言えないよ。

 「マック・・・たぶん7年ぶりくらい」

 オレはボソッと呟いた。

 「えっ? マジで普段何食べてんの? 牛丼とかも入ったこと無い系?」

 「うん・・・・無いです。」

 「やばっ 私が美味しいところ沢山連れて行ってあげるよ!」

 えっ?どう言う意味だ? 沢山連れて行く? デートなのか? デート!!デートってアレだよね男女が2人で色んなところ遊びに行くアレだよね!

 「それにはまず連絡交換しないと! アッキーLINEやってる?」

 「うん やってる。」

 「OK じゃあQR出して!」

 「QR?」

 「そそQR」

 「どこから出せば・・・・?」

 「ホーム押して 右上の人の形+ からの QRコードね!」

 「OK」

 「登録完了!!」

 「あとLINEでお願いがあるんだけどいいかな? 」

 「うん」

 「私のLINEぜーーーーーーーったい 人に教えないで! 絶対にだよ! これ教えたらアッキーでも許さないからね」

 「大丈夫! LINEはアニ研のグループと母親だけしか登録していないから」

 「誰かが勝手に見る可能性あるかあ名前代えておいた方が良いかな? 今、花澤亜衣になってるけど・・・妹恋 とか?

 「じゃあ 妹恋に変えた」

 「ありがとうー 今日の私のミッション3つ達成!!」

 「ミッション?」

 「そそ ミッション! ミッションインポッシブルだよ!」

 「まだ一個残っていた! ちょっと外でよ」

 オレはコーヒーのカップを捨てて花澤さんのあとを追いかけた。

 「ご馳走様でした。」

 「いえいえー」

 「アッキーそこに立って」

 「OKハイ チーズ」

 「ツーショトGET!」

 「本日のミッション4個達成!!」

 「後で加工してLINEに送るね!」

 「じゃあそろそろ帰ろうか」

 「私は30系統だけどアッキーは?」

 「オレは歩いて帰ります!! 一応30系統方面なんだけど乗っても乗らなくてもあまり変わらないから。

 そう言って花澤さんはバスターミナルの方に向かって歩いていった。

初めての電話

 「ただいまー」

 「おかえりなさーい 遅かったわね」

 母親が聞いてきた。そうか大体いつも17:30くらいには家に帰ってきているからな マックのお店に入ったのが17:30・・いつも家についている時間だもんな。

 「もうすぐご飯だから優衣を呼んできてくれる?」

 やべっ!!いきなり無茶振り来た。 そうかお母さんはオレと優衣の現状を知らないんだよな。とりあえず呼んで来るか。階段を上がって二階の優衣の部屋の前に深呼吸一回してドアをノックする。

 「お母さんがご飯だって」

 とりあえず伝えた。返事は無いが中でかすかに動く音が聞こえたのでご飯だって事は伝わってるはずだ。オレちょっと頑張った! 中学2年生の妹に怯える高校二年生って・・・・階段を下りて夕食のテーブルに座る。

 「啓太 優衣のこと呼んで来てくれた? 」

 「あーうん 一応ドアをノックしてご飯だよって伝えてきたよ。中で物音していたから聞こえているはず。」

 「ドアは開けなかったの?」

 いやドアは流石に開けられない。前に一回ドアを開けて大変な目にあってるからな! それ以来二度と  ドアを開けていない。 どんな目にあったかって? オレの部屋の本棚の本全部外にぶちまけられたんだよ。言わせるなよ。

 「今日もお父さん遅いから先に食べちゃおうね」

 「いただきまーす」

 優衣が二階から降りてくる。一瞬オレの事を見たが直ぐに目を背けて自分の席に座る。

 「優衣 お風呂そろそろ沸くからご飯食べたら入っちゃってね」

 うちの一番風呂は優衣なのである。前にも話したが一番風呂じゃないと暴れて大変なことになるからな。

 「ごちそうさま」

 風呂の時間に入った後とかに出くわしたくないので食べ終わったら食器を流しに持って行き、直ぐに自分の部屋に逃げる。

 スマホが光っている! これはLINEの通知!! 先ほどのツーショット写真にピンクのハートマークで加工された写真送られてきていた。

 「コメントには先ほどのツッショット写真の加工が終わりました! 待ち受け画面とかには出来ないけど観賞用に保存しておいてね! 亜衣」

 既読を付けてしまった・・・・・・返信どうしたらいいのだろう。

 妹がお風呂から出てきたようだ、階段を上がってきて今自分の部屋に入った。 部屋に入ったのを確認して自分の部屋のドアを開ける。これも気をつけないと大惨事が起きるからな。 風呂上りのバスタオルにくるまれた状態の妹と遭遇なんてしたら・・・・二階が崩壊するレベルじゃないと思うんでかなり気をつけております。

 湯船に漬かりながら土曜日のことを考える。最悪100円コーヒーでマックのフリーWIFIとコンセントで時間をつぶすかな・・・・花澤さん3時間いても平気といっていたし。

 昨日は早く寝てしまったので今日は少しゲームをするかな時刻は20:30 最近前ほどガチでゲームをしていないような、花澤さんと出会ってからかもしれない。そろそろ21:00か・・・・突然大音量のLINE通知音が鳴り出す!!

 「うおおおおおおおおっ 」

 思わず叫んでしまった。着信なんていつ以来だ?しかも着信音量の設定があることすら忘れていたどんだけ着信が無いんだよ さすがボッチ・ザ・ワールド! 久しぶりに口にしてしまった。流石に着信の音が大きかったのか隣の妹が壁ドンをしてきた。とりあえず電話に出る!!横にスライドか!

 「アッキー 起きてた? さっき加工したツーショット写真送ったんだけど・・・・見たでしょ? 既読付いてるのになんで返事くれないの?」

 やばい・・・既読付けてから1時間以上放置していたかも。なんて返事返せばいいんだよー!ピンクのハートマックだぞ!ハートって好きとかって意味だろ?しかもハートがいっぱいだとラブラブ? チョット待てオレと花澤さんがラブラブと言う意味を表しているのか?

 「見ました!! ピンクのハートがいっぱい!!アレですよね?遊園地とかのハートの風船がいっぱい!みたいな 割っちゃえ 割っちゃえ的な?」

 「 アッキー なんで割っちゃえ 割っちゃえなの?ハート壊れちゃうじゃん ハートが壊れるとどうなるか分かる?」

 「心臓ボーーーン!みたいな? AEDでドクンドクンドクンみたいな!」

 「私、今心臓ドクンドクンしてるよ? アッキーはしてないの?」

 「オレもドクンドクン動いてます!思いっきり手のひら押し付けないと分からないけど」

 「ふーん アッキーのは普通の心臓の音なんだね」

 「三三七拍子みたいな心臓とかあるのかな?

 「アッキーのばか! もういいよ」

 いきなり電話が切れてしまった。 三三七拍子とかNGワードなのか! やばいなんか怒って電話切られちゃったよ。明日、花澤さんに謝るしかなさそうだ。

4月17日

 あーそうだ昨日は花澤さんを怒らせてしまったんだ。二個事件の内1つを解決・・・そしてまた新たに花沢さんを怒らせて事件が追加された。オレは一生事件を二つ抱えたまま過ごさなければいけないのか。

 朝7:00 もう妹も父親も出かけてしまったのか?そんな事を思いながら制服に着替えて一階に下りて行く。朝ごはんは自分の分しかないようだ。

 「いただきます」

 今日の朝ご飯は納豆か・・・・コンースープが飲みたいな。

 「ごちそうさまでしたー」

 誰もいないのか返事が無い。とりあえず食べた食器を流し持っていき水をかけておく。あとはお母さんに任せるとしよう。

 本当に誰も居ないのかな? 玄関の鍵閉めた方が良いのか悩んでいると母親が出てきた。

 「なーんだいたのか 静かだったからもう誰もいないのかと思ったよ。 とりあえずいってきますーす」

 普段は上大岡の駅まで歩いていくんだけどバスに乗っていくかな!オレはいつもとは違う大通りの方へと歩いて行った。近くにバス停はあるんだけど時間通りあまり来ない?鎌倉街道まで歩いていった方がたくさんバスが通ってるからね。

 そういえば花澤さんも30系統とか言っていたっけ? オレと同じ路線だからこっちから乗ることは思うんだけどもし朝一緒になると五回偶然みたいな。バス停に到着して1分も経たないうちに上大岡行きのバスが来る。本当にこの路線はバス多いな。いつもは駅前が混んでるのに今日はすんなり到着。

 改札を抜けていつものようにエスカレーターでホームに上がっていく。花澤さんはいないようだ

 さすがに5回とか見かけたらおかしいよな。そうだ仲直りできたと思った花澤さんを怒らせてしまい一緒にアニ研の部室に行かないといけないのに・・・・本当にどうしよう。それに明日のお留守番の件、妹は絶対に許さないだろうな・・・・一難去ってまた一難プラス!!電車がタイミングよく来たのでそのまま乗ってしまった。

 ちょっと期待をして周囲を見回すが花澤さんはいないようだ。なんか今日同じ学校の制服見ないな・・・流石に金沢八景の駅に着くとたくさん内の学校の生徒がw

 さてゲームしながら学校に行くかな。スマホの画面を見るとラインの通知が10件来ている・・・いつの間にラインが来ていたんだ?着信音は鳴らなかったような・・・・もしかして昨日のLINE電話の着信音が大きくてオフにしてしまったのが・・・・LINEを開いてみると昨日の23:00以降から全部花澤さんからだった。

 「23:00 アッキー起きてる?」

 「23:05 電話してもいい?」

 「23:07 電話かけるね」

 「23:07 着信アリ」

 「23:08 着信アリ」

 着信アリってホラー映画じゃないぞ!!先に言っておく!!たぶん今のオレの顔がホラーっぽい顔になってるはずだ・・・

 「23:10 着信アリ」

 「23:11 着信アリ」

 「23:12 もう寝るね」

 「07:30 金沢八景の駅に着いてる?」

 「07:35 返事して教室はいる前に話したい」

 今、気がついたオレ・・・・時刻は07:50! 電話した方がいいよな・・・・電話するべきだよな。 何て言えばいいんだ? 10件の通知に全く気が付かないで最終通知から15分も過ぎてしまっている。そんな事を思ってる間に時刻は07:55! 始業時間が08:15・・・20分無いじゃないか! えーいオレは花澤さんに電話をすることにした。

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 なかなか出ない。もしかしてもう学校に到着してしまっているのだろうか?

 「ルルルルルルルルルーー」

 とりあえず一回電話を切ってみた。 時刻は08:00を少し回ったところらしい。08:05になったらもう一回かけよう。 オレはスマホの画面を見ながら学校に向かった。10回も通知気が付かなかったからな・・・もうどうしていいか分からない。こういう場合どうしたらいいんだ?もし逆にオレの立場だったら、スマホを投げて二度と電話に出ないかもしれない! 花澤さん・・・・

 時間を巻き戻せるなら昨日の22:00くらいに戻って欲しい!! そこからやり直したい!! それがダメならせめて23:00 神様お願いだ時間を巻き戻してください!! なんでもします!!そんなバカな願いを考えていたら時計は08:07を回っていた。 08:05にかけようと思ったのになんでこういう時って時間が経つんだ? 08:10 これが最後のチャンスだ!! オレは直ぐに校門を通過できるよう道路の曲がり角でスマホの画面を眺めていた。

 時刻が08:10になったと同時に花澤さんにLINE電話をかけてみた。

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 コール音だけが鳴り響き、花澤さんが出る気配が全く無い。時刻はもう08:13校門をくぐるか。急いで上履きに履き替え教室へと向う。ガラー!勢い良く戸を開けたためみんなが一斉にこちらを向く。先生が言う。

 「薄井遅いぞ! もうホームルーム始まるところだ 今回は遅刻じゃなくしておいてやる。」

 先生の言葉を聞き流しながら隣の花澤さんの席を見る。まだ来ていないようだ。07:30のLINEには金沢八景に着いてるらしいんだ。あれから45分経過してるが花澤さんはまだ学校に来ていない。ホームルームが終わったらもう一度花澤さんに電話してみないと! はやくホームルーム終われよ!! 先生もうこれ以上話すな! 時間が無いんだよ オレは握りこぶしを作りながら自分の太ももをひたすらパンチした。

 なんかいつもより長く感じたホームルームが終了。直ぐに電話をかけてみた!

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 「ルルルルルルルルルーー」

 やはり電話に出る気配が無い!! こうなったら赤井沙希に聞くか! しかしアイツは多分俺のことを相当嫌ってるはず話しかけても会話になるのかな? とりあえず隣のクラスらしいので覗きに行ってみるか。隣のクラスを覗くと窓際の一番奥のほうで男女4.5人で何か話している。金髪の男もいるし茶髪の女もオレとは完全に無縁の世界の住人だよな。しかしオレはあそこまで行って赤井沙希に話しかけれるのか?

 あと5分もしないうちに1限の授業が始まる。勇気を出す!!教室に入るなりオレは叫んだ!

 「赤井さん! 赤井さん! ちょっと話があるんだ!!」

 クラスの全員がオレに注目する。何故か薄っすら涙を浮かべているオレ なんでだろう~涙が出てくる多分花澤さんの事が心配なんだ! 赤井沙希はこっちを見て何か言いたげな表情をしている。

 「赤井さん!ちょっといいかな?」

 もう一度大きい声で呼んでみた。

 「何だよ お前 うざいんだけど てか人のクラスに勝手に入って来るなよ」

 赤井沙希はまったくオレと会話をする気が無いようだ。ダメだ会話をしてくれる余地も無い・・・・1限目の授業が始まりそうなので一旦教室に戻るか。授業が終わったらもう一度来よう・・・。

走り出したのは必然だからだ

 1限目の授業は全く頭に入ってこなかった、ただただ早く時間よ過ぎる!授業が終わってくれと願うばかりだった。時々廊下で音がするたびに後ろのドアから花澤さんが教室に入ってくるような気がした。しかし花澤さんが入ってくることは無かった。LINEの内容からすると学校の近くまでは来ているはずなんだ。

 ようやく終業のチャイムが鳴る! オレは先生の挨拶も終わらないうちに教室を飛びで出す。そして隣の教室へ・・・何故か隣の教室はまだ授業をしている。時間が無いんだ!こんな時に限ってまだやっているだと? 少しイライラしてきたが我慢をする。中で生徒達が立ち上がり続々と廊下に出てくる。赤井沙希はまだ窓際の席に座っている。出てくる生徒と少しぶつかりながらも俺は教室の中に飛び込んでいった。

 「オイっ」

 とか言うのが聞こえるがそのまま赤井沙希の席まで走っていく。たぶんすごい形相をしていたのかもしれない。赤井沙希の方がビックリした顔で俺を見つめる。赤井沙希が何か言う前にオレは土下座をしながら言った。 

 「時間が無いんだ。頼むオレの話を聞いてくれ。」 

クラスのみんながオレに注目をする。座ってる赤井沙希からすれば調度良い場所に俺の顔がある状態だ。たぶんこの女はSなのかも知れない上履きの先でオレのアゴを突っ突く。そんなことされても今のオレは何もいう事ができない。 

 「さっきも言ったんだけど勝手に教室に入って来るなよヲタクが。」

 このままではラチがあかない・・・オレは立ち上がり赤井沙希の腕を掴んで走り出す。オレも結構力あるのかもしれない。まあ相手が女子だからか?意表をついて引っ張ったからなのか意外と勢い良く教室の外まで来れた。 

 「何してんだよ。離せよコノヤロー お前なんなんだよー」 

 赤井沙希が叫んでいたがかまいはしない取り合えず彼女と話が出来れば良い。教室の外に連れ出したオレはLINEの内容を赤井に見せる。 

 「花澤さんと連絡がつかないんだ!」

  はあ?何コイツ言ってるんだ?見たいな顔をしている赤井沙希。

「このLINEの内容を見て欲しい」

 「LINEてなんだよ 何でお前と亜衣がLINEしてるんだよ。お前頭おかしいんじゃないか? 妹恋って誰だよ。」 

 「アイコンを見て欲しい! 妹恋のアイコンを見て!」 

 花澤さんと犬が部屋の中で一緒に写ってるアイコンだ。こんなアイコンをできるのは本人しかいない! 赤井沙希は確信したようだ。妹恋が花澤亜衣本人である事を。 

「おい ちょっとスマホ貸せ!」

 赤井沙希はLINEの画面を上の方にスクロールさせ始めた。そしてツーショットの写真や昨日の心臓の話、不在着信の記録などを見ている。 

 「どういう事だよこれは。 なんでお前と亜衣がツーショット撮ったりLINEしてるんだ?」

 「意味わかんねーんだけど」

 「赤井さん 声が大きい・・・もうちょっと小さい声で」

 「はあ? んなことどうでもいいんだよ。 なんでお前と亜衣がLINEしてるんだよ。」

 「あとで説明するから最後の方を見て欲しい 電話が繋がらないんだ。」

 赤井沙希は自分のスマホで花澤さんに電話をかけ始めたらしい。

 「ルルルルルルー」

 「ルルルルルー」 

 ガチャっ花澤さんが電話に出たようだ。

 「亜衣ー 今どこにいるんだ?」

 電話の向こう側で花澤さんがしゃべり始めたようだ。

 「沙希どうしたの?いきなりどこにいるんだって? ちょっと独りになりたくて学校の前の川にいるんだ。」

 「学校の前の川?」学校の前の川だと!! オレは階段を飛び降りて下におりた。 下駄箱が目に入ったがそのまま上履きのまま校門へ向かう。靴なんて交換してる時間なんて無いんだよ。校門を出て50mくらい先に行けば大学の門がある! それを超えれば侍従川だ。花澤さんはそこにいる。道路を渡り川沿いの歩道へ。左右見渡したが花澤さんは見当たらない・・・そして気が付いたスマホを持ってくるのを。まさか川の向こう側か?しばらくこっち側から探すか・・・

 そのころ花澤さんと赤井は二人で話していた。

 「アイツ 今すごい勢いでそっちに向かっていったぞ? しかもスマホも持たないで まあ亜衣がそこにいるなら直ぐに気が付くか。 」

 「私今、川の向こうだからわからないかも」 

 「あはは アイツもバカだな www 亜衣はアイツの事が好きなのか? LINE読んだが好きって書いてあるようなものジャン」

 「私もよくわからない でも好きなのかも」

 「しかもなんだ アイツのこの心臓の返事 こんなの見たら恋とか冷めちゃうぞ?」

 「アッキーらしいよね・・・・全然、私の気持ちとか気づいてなさそうだし。」

 「亜衣は本当にアイツのこと好きなのか? 結構ひどい事言ってしまったしな。 先日も今日も。」

 「沙希 この間の除菌とかはひどいよ・・・一応、沙希は口が悪いけど良い子だよっていったんだけど・・・気にしないって言われた。」 

 そんな会話を二人がしているとも知らずにオレは反対側を見ながら川沿いを歩く。反対側いくなら左から行けばよかったな・・・右からだとメチャクチャ歩かないと反対側にいけない。それと・・・2限目始まってるんだろうな。ちなみにオレは一回も学校を休んだこともないし授業をサボったことも無い。もうどうでもいいやw とりあえず午前中は花澤さん探しをするか・・・・ そんな中、花澤さんは学校に来ていた。いつもは良く会う花澤さんとオレだがこういう肝心な時には会わないんだなw 

 3限目が始まる前に赤井沙希が教室にやって来る。もちろん俺はいない。

 「亜衣ー このスマホこいつのだから渡しておくよ。学校にきたら渡してあげな。」

 そう言いながら赤井沙希はオレの席を指差してから花澤さんにスマホを渡した。「本当にアイツもバカだよなースマホ置いて行くとか、連絡取れないジャンw それだけ川沿いにいるって情報だけで走っていくなんて。もしかしてアイツいいヤツなのかもな・・・。」

 「うん 」

 花澤さんは目を伏せながらうなづいた。 

 「じゃあ 私は行くね また後でアイツ来たらLINEして 謝りに来るから。」

 そう言って赤井沙希は教室を出て行った。  続く

 

 

 

 

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

4人の購読者に加わりましょう
おすすめの記事