〈メイクなんてしているからだ〉〈こいつがいなければメダルが獲れていたのにな〉

女子スキージャンプ・髙梨沙羅(25)がネット上に書き込まれた心ない言葉で傷つけられている。

2月5日に行われたノーマルヒル個人では2大会連続のメダルを期待されたが、風に恵まれず4位。2月7日、混合団体では高梨のジャンプ後に抜き打ち検査が行われ、スーツの両太もも周りが規定より2㎝大きかったとして失格となった。その後、チームはなんとか巻き返すも日本は4位に終わり、メダルを逃した。

その競技後のことだ。冒頭のような批判が高梨を襲った。

努力を尽くしたアスリートに向けられた心ない言葉。いったい、なぜこんな言葉を発するのか。それを発しているのは誰なのか。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一氏はアスリートへの誹謗中傷が増えた理由をこう分析する。

「五輪というのは巨大なイベントですから注目度も高い。注目度が高いと必然的に誹謗中傷がされやすいんです。注目度が高ければネット上でたくさんの書き込みがなされます。

たとえば、その書き込みの中の1%が誹謗中傷的な内容だったとしても、書き込みの数が多い、つまり分母が大きいので必然的に誹謗中傷の書き込みの数は多くなるのです。全体の書き込みから見ればごく一部の人なのですが、数が多いのでまるで世間一般の声のように捉えられてしまうという側面があります。

また五輪は世界中が注目するグローバルな場でもありますから、日本人からだけでなく、他の国の人からも攻撃を受けることになります。その内容は競技内容への不満に止まらず、容姿に対する中傷、人種差別、イデオロギーなど多岐にわたり、そういった点でも五輪選手は特に誹謗中傷されやすいと思います」

悲劇から1日が明け、高梨は自身のSNSに真っ黒な画面とともに謝罪文を掲載した。

〈今回、私の男女混合団体戦での失格で日本チーム皆んなのメダルのチャンスを奪ってしまったこと、そして、今までチームを応援してくださった皆様、そこに携わり支えて下さった皆様を深く失望させる結果となってしまった事、誠に申し訳ありませんでした。

私の失格のせいで皆んなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。謝ってもメダルは返ってくることはなく責任が取れるとも思っておりませんが今後の私の競技に関しては考える必要があります。それ程大変なことをしてしまった事深く反省しております。〉

(原文ママ)

高梨はスポンサー企業を多く抱え、メダル獲得のプレッシャーが凄まじかったことは想像に難くない。誰よりも一番メダルが欲しかったはずの高梨がなぜ、謝罪しなければならなかったのか。彼女を謝罪にまで追い込んだ人々の正体はなんなのか。前出の山口氏が語る。

「疑惑やミスがあると誹謗中傷されやすくなります。疑惑やミスという結果を受けて書き込んでいるから『100%自分が正しい』と思っているのです。炎上に参加している人を調べた事があるのですが、6~7割の人は『言動が許せなかったから』などと、自らの正義感によって攻撃を仕掛けていました。

今回の件で言えば『彼女がスーツのミスをした』あるいは『検査した人が作為的に失格にした』と想像ができる。正義感のある人たちが高梨選手や検査係に怒り、攻撃をはじめるのです。彼らは『自分が正しく相手が悪い』と本気で考えてやっている。思い思いに自らの正義を振りかざし、攻撃している。想像をもとにした妄想と個の正義感でリンチしているのと同じです」

言葉の凶器で何人もの命が失われていることを忘れてはいけない。

以下ソース
https://friday.kodansha.co.jp/article/230467

ブログをメールで購読

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

4人の購読者に加わりましょう

おすすめの記事