
【もののけ姫】タタラ場の外開きと内開き
たたら場とは砂鉄から鉄を取りだす作業を行う場所で、いわば昔の製鉄所です。 主人公アシタカは、たたり神の呪いを解こうと旅をする中、たたら場でエボシ御前と出会い、呪いの正体を知り、やがて人間ともののけの戦いに巻き込まれていきます。
もののけ姫の物語は、タタラ場という舞台を中心に展開されます。このタタラ場は、外開きと内開きという2つの地域から成り立っており、それぞれが異なった役割と魅力を持っています。
まず外開きですが、これはタタラ場の外側に位置し、主に男性が生活しています。外開きは、タタラ場の防衛を担当する重要な地域です。ここには曲輪と呼ばれる防衛施設があり、男性たちはこの曲輪を守る役割を果たしています。彼らは攻めてくる敵やもののけからタタラ場を守るため、日夜訓練に励んでいます。彼らの生活は厳しいものであり、武士道精神に基づく厳格な規律と努力が求められます。
一方、内開きはタタラ場の内側に広がっています。こちらは主に女性や子供たちが暮らす場所です。内開きは、外開きとは対照的に、自然との共生や豊かな生活を重視した地域です。ここでは農耕や畜産、そして家事に従事する女性たちが活躍しています。彼女たちは豊かな自然環境の中で、家族や村の絆を大切にしながら暮らしています。また、子供たちの育成も内開きの重要な役割の一つです。
外開きと内開きという2つの地域が存在することで、タタラ場は独自の生態系を築いています。外開きの男性たちはタタラ場の安全を守るために武力を行使し、内開きの女性たちは自然と調和しながら持続可能な生活を送っています。これにより、タタラ場は強固な防衛体制と豊かな生活を両立させています。
外開きと内開きの両方がタタラ場のバランスを保つために必要です。男性と女性、防衛と生活の織りなす絶妙な調和が、タタラ場の持続的な発展を支えているのです。物語の中で、外開きと内開きの対比が描かれることで、タタラ場の世界観やキャラクターたちの物語をより豊かなものにしています。
外開きの男性たちは厳しい訓練と防衛の任務に情熱を注ぎながら、自分たちの存在意義を見出しています。彼らは敵との戦いを通じて勇気や絆を深め、タタラ場を守るために命を捧げる覚悟を持っています。その一方で、内開きの女性たちは自然との調和を大切にし、賢く節約しながら豊かな暮らしを実現しています。彼女たちは家族や村の一員として、互いに支え合いながら生活しています。
このような外開きと内開きの対比は、物語の魅力の一つでもあります。物語を通じて、タタラ場の住民たちがそれぞれの役割を果たしながら、困難に立ち向かい、成長していく姿が描かれます。男性たちは勇気と武力を、女性たちは知恵と柔軟性を持ち合わせ、お互いの力を尊重しながら共に生きています。
タタラ場の外開きと内開きは単なる物語の背景ではなく、テーマやメッセージを象徴する重要な要素です。外側と内側、防衛と生活、男性と女性といった対立する要素が絶妙に組み合わさり、物語の奥深さや人間ドラマが生まれます。また、このような対比を通じて、視聴者や読者は自分自身や社会における対立や調和、役割分担の意義について考えさせられるのです。
『もののけ姫』のタタラ場は、外開きと内開きという二つの地域が交錯し、異なる役割と魅力を持ち合わせています。これらの要素が物語において重要な役割を果たし、タタラ場の世界を豊かに描き出しています。物語を通じて、外開きと内開きの関係性を深く理解することで、人間のあり方や社会の在り方について考える機会を得ることができるでしょう。


