近年、大学受験における遺伝の影響について注目が集まっています。安藤塾の最新刊から得られた情報を元に、遺伝が学生の大学受験にどのような影響を及ぼすのか、そしてそれにどう対処するべきかについて考えてみましょう。
著者の安藤塾先生は、慶応大学の教授であり、遺伝や学力に関する研究で業界屈指の権威です。彼は主に双子を用いた研究を行っており、その成果は非常に注目されています。遺伝子による指紋のパターンや身長体重の遺伝率は驚くべき高さを示しており、IQや成績も遺伝によって影響を受けることがわかっています。
例えば、指紋のパターンの遺伝率はなんと91%、身長は92%、体重は95%という驚異的な数値が示されています。さらに、IQの遺伝率は51%であり、この数字は年齢によっても変動します。幼少期では41%から始まり、青年期には55%にまで上昇します。また、成績に関しても9歳の時点での国語（英語を含む）と算数の成績において、それぞれ67%と72%の遺伝率が報告されています。
さらに驚くべきことに、統合失調症やADHDなどの疾患も遺伝率が非常に高いことが判明しています。これらの疾患は遺伝によって81%や80%という高い遺伝率を持っているのです。
これらの数字を見ると、多くの人が絶望感を抱くかもしれません。しかし、遺伝率はあくまで形質の遺伝によって説明できる程度を示す指標であり、全てを決定するものではありません。遺伝率が高いということは、その形質が遺伝子の分散によって説明できる程度が高いことを意味します。
大学受験においては、遺伝の影響を考慮せずにはいられません。しかし、遺伝が大きな要素であることに絶望するのではなく、遺伝の影響を理解し、それに対処する方法を模索することが重要です。
まず、遺伝率が高いということは、個人の能力や特性には遺伝的な要素が大きく関与していることを示しています。しかし、それは必ずしも遺伝のみによる結果ではありません。環境や努力も重要な要素であり、個人の成長や学習に大きな影響を与えます。
大学受験において、遺伝的な要素が強く関与するとしても、取るべきアプローチは一つではありません。個々の学生に合わせた戦略や対策が必要です。
まず、自己認識が重要です。自身の遺伝的な特性や傾向を把握し、自分の強みや弱みを理解することが必要です。遺伝によって引き継がれた優れた能力や素質を活かしつつ、課題となる部分には積極的に取り組むことが求められます。
次に、努力と継続が不可欠です。遺伝的な要素が強くても、努力や学習の量と質によって成績や能力は向上します。一つの形質が遺伝的に決まっているからといって、諦めたり努力を怠ったりすることはありません。むしろ、自分の遺伝的な素質を活かし、努力を重ねることでより良い結果を得ることが可能です。
また、個別指導や補習など、適切な学習環境を整えることも重要です。遺伝的な要素によって学力や能力に差がある場合でも、適切な指導やサポートを受けることで成績向上や能力の伸長が期待できます。周囲のサポートや助言を活用し、自身の成長に努めましょう。
最後に、遺伝が大きな要素であることを受け入れつつも、それにとらわれず自分自身を肯定することが重要です。遺伝によって決まる要素もある
