
中国福建省における高速増殖炉の建設が最終段階に入ったことが明らかになりました。この建設により、中国は高純度のプルトニウムを生成する能力を得る見通しです。
高速増殖炉CFR 600の建設は、中国国有企業である中国核工業集団によって進められています。このプロジェクトは、年内に稼働する予定であり、本格運転が開始されれば年間100発を超える核弾頭を製造することが可能とされています。
中国は核施設の査察義務がなく、民生用の核物質を軍事利用する可能性が高まっています。このため、国際社会は監視機能の強化を求めており、G7では核戦力強化が議題となる見通しです。
高速増殖炉の建設によって中国が得ることができる高純度プルトニウムは、核兵器製造に使用される可能性があります。中国政府は電力需要の増加に備えて高速増殖炉を開発中と主張していますが、中国メディアはこの施設が軍民両用に利用され、核兵器の増強に非常に有利であると報じています。
一方で、中国は国際原子力機関(IAEA)へのプルトニウム保有量の申告を停止しており、中国のプルトニウムの増加量についての試算も存在します。これによれば、高速増殖炉の稼働により、30年頃には核弾頭約620から1048の量に増加する可能性があるとされています。
中国の核兵器保有量はアメリカやロシアに比べて少ないものの、高速増殖炉の建設によって中国が核兵器を保有する方向へ進んでいることは明白です。現在の2機の高速増殖炉によって年間200発程度の核弾頭を製造できると考えられており、さらに中国は将来的にこれらの施設を増やして、アメリカやロシアと同等の核兵器保有量を持つ可能性があります。このような動向は国際社会にとって深刻な懸念材料であり、中国の核戦力強化が安全保障における重要なテーマとなっています。
一方で、高速増殖炉の建設には技術的な難題が存在します。日本やアメリカ、フランスなどが高速増殖炉の建設を試みましたが、事故のリスクや冷却剤の問題などから断念せざるを得ませんでした。高速増殖炉では通常の原子炉と異なり、高速中性子を使用するため、冷却剤の選定が難しいのです。
従来の原子炉では水が冷却剤として使用されますが、高速増殖炉では水を使用すると中性子が減速されてしまうため、冷却剤としてはナトリウムなどの金属が必要です。ナトリウムは液体状態で使用され、高速中性子を効果的に制御することができます。
中国が高速増殖炉の建設に成功した場合、これによって高純度のプルトニウムを効率的に生成できるようになります。これまでにないスピードで核兵器の生産能力を高めることができるため、中国の核戦力が飛躍的に増大する可能性があります。
しかし、中国の高速増殖炉建設にはリスクも存在します。中国福建省に建設された施設は、もし事故が発生した場合に放射能汚染が日本に及ぶ可能性があります。特に日本の沿岸部や水産物に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。
中国の高速増殖炉建設は、国際社会において重要な問題となっています。適切な監視体制や国際協力が必要であり、核兵器拡散の防止と地域の安全保障を確保するために、国際的な対話と協力が喫緊の課題となっています。


