ポカホンタスという名前は、多くの人にはディズニー映画の美しい物語を思い浮かべることでしょう。1995年に公開された『ポカホンタス』は、インディアンの少女ポカホンタスとイギリス人青年ジョン・スミスとのロマンチックな恋愛模様を描いた感動的な作品として、今でも多くの人に愛されています。しかし、その一方で映画は公開直後から黒人とインディアンの両団体から激しい抗議を受けることとなりました。その理由は、映画の物語が史実と大きく異なっていたからです。
実際のポカホンタスの生涯は、感動的な物語とは程遠く、悲劇的なものでした。彼女の生涯は416年前の1607年、アメリカ大陸初の植民地バージニア州が舞台となって始まります。当時、北米大陸は未開の地であり、手付かずの資源が多く眠っていました。イギリス人たちは黄金を求めてこの新天地にやってきました。
そこに一人の女性が現れました。彼女こそが、今回の物語の主役であり、原住民の酋長の娘、ポカホンタスです。自然の中で自由奔放に育った彼女と、産業革命目前の文明社会で育ったジョン・スミスとは正反対の環境で育ちましたが、初めはぶつかり合いながらも、スミスは自然を愛するポカホンタスの姿に惹かれ、彼女もまた自分の話を真摯に聞いてくれるスミスに惹かれていきます。
こうして2人は愛し合うようになりましたが、その関係を引き裂く事件が起こります。イギリス人と原住民たちはお互いを警戒しながらも、なんとか平和に共存していました。しかし、ある時、イギリス人が原住民の一人を殺してしまい、それがきっかけで争いが始まってしまいます。スミスは自分の部下を守るために、自ら名乗り出て処刑されることになりました。
そして、まさに処刑が執行される寸前、ポカホンタスが飛び出してきました。彼女はスミスを守り、酋長を説得しました。彼女の必死の懇願によってスミスの処刑は中止されたのです。この事件をきっかけに、2人の関係はさらに距離を縮めることになりました。
しかし、実はこの話はジョン・スミスが後に書いた著書に基づくものであり、史実としては疑問視されています。スミスの著書には、ポカホンタスが自分を救ってくれたという話が記されていますが、その出所は1539年にネイティブアメリカンの捕虜になったオランダ人の話から借用したものであると言われています。実際のポカホンタスはその後も悲劇的な運命をたどり、20代で誘拐されて亡くなるという過酷な結末を迎えたのです。
ポカホンタスの真実は、ディズニー映画の美しい物語とは異なるものでした。映画ではロマンチックな恋愛が描かれていますが、実際の彼女の生涯は苦難に満ちたものでした。歴史の中で、ポカホンタスの人生は未だに多くの議論の対象となっています。
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