私たち、All de madeがステージから降りたその時、マネージャーの山田から不思議な提案が出た。「皆さん、ちょっと変わったプロモーションを考えているんですが、大阪市内で…鬼ごっこ、どうですか?」 山田がにっこり笑うと、はるちゃぴ、ゆう、ゆまち、きよたんの四人はまったく予想だにしなかった提案にぽかんと口を開けたままだった。
大阪の夜。活気に満ちた通りは見知らぬ人の波で溢れ、電飾が宵闇を明るく照らしている。四人は、その中を駆け抜けることになる。
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「あっ、はるちゃぴ!こっちこっち!」明るい笑顔で手を振るゆうに、はるちゃぴは小走りで近づいた。「えっと…次はどこ行く?」
「四天王寺のあたりがいいかも!」
それが始まりだった。仲間内での熱心な相談が、夜の大阪を舞台にした一大イベントに発展していく。
商店街、観光地、飲食店、公共交通機関、四人が駆け抜ける全ての場所が舞台となった。四人の視点で描かれる大阪の夜は、煌びやかで、時には少し寂しく、そして何よりも刺激的だ。
はるちゃぴは、大阪城公園で野生の猫と遭遇した。彼女が恐る恐る手を差し伸べると、猫はそれを警戒することなく、優雅に鼻先をこすりつけた。「かわいいなあ…」と彼女がつぶやいた時、突然背後から「ゲットだぜ!」と叫ぶ声が。
振り返ったはるちゃぴの目に飛び込んできたのは、全身に黒い布を纏いた人影、それが今回の鬼役だ。彼女は思わず叫んで猫を抱きしめ、足元にいた猫は驚いて木陰に逃げ込んだ。「ごめんね、びっくりさせて…」彼女は小さな生物に謝りながらも、すぐさま反撃を開始した。
その頃、ゆうはたこ焼き屋「串カツ田中」の前で心を奪われていた。「おいしそう…あ、ダメだ、集中!」彼女は自分に言い聲を立て、駆け足で店を後にした。
通天閣の下、ゆまちは初めて見る風景に目を細めていた。「これが大阪の象徴か…」。しかし、その頃には、既に鬼はその影を追っていた。
一方、きよたんは地下鉄の中。マネージャーには「大阪の交通は全部使ってもいい」と言われていた。彼女は電光石火の速さで地下鉄に飛び乗り、追いつめられる感覚から逃れた。
大阪の市内を舞台に、過去に例のない規模の鬼ごっこが繰り広げられた。人々は四人の姿を見つけては歓声を上げ、その動向をSNSに投稿し、リアルタイムで情報を共有した。
夜が深まり、追いかけられる四人の心にも疲労が刻まれた。しかし、それでも彼女たちは諦めなかった。彼女たちの視点は、大阪の夜景、走り回る自分たちの影、そして、追いつめる鬼の姿を的確にとらえ、すべてを心に刻んでいった。
「あと少しだけ…!」きよたんの声が地下鉄の車内に響き渡る。彼女は息を切らしながらも、最後まで逃げ切る覚悟を固めていた。
「もう少し…!」ゆまちは通天閣の足元で必死に息を整え、闘志を燃やしていた。
「まだまだ!」ゆうは商店街を走り抜け、疲労を忘れるほどのアドレナリンに身を任せていた。
「行くよ!」はるちゃぴは大阪城公園の猫に告げ、再び戦闘モードに入った。
それは、大阪の街を舞台にした一夜限りの鬼ごっこ。しかし、彼女たちにとっては、これまでのアイドル生活の中で最も鮮烈で、刺激的な一夜となった。それぞれの視点から見た大阪の街、追いつめる鬼、そして彼女たち自身。全てが、一つの大きな物語を紡ぎ出していった。
追いつめられる恐怖、しかし同時にそれが新たな冒険であり、自身の限界を試す挑戦だと感じる喜び。その感情の波に翻弄されながらも、彼女たちはただ前へと進み続けた。
最終的には、ゆまちが通天閣の最上階まで駆け上がり、彼女の勝利で幕を閉じた。彼女が高く掲げる手には、鬼役がくれた白いリボンが握られていた。「これで終わりだ…」ゆまちは息を切らしながらも満足そうにリボンを眺めた。
一方、他のメンバーたちはそれぞれの場所で息を整えていた。それぞれが感じた達成感、喜び、疲労が交差する中で、ゆうはふと疑問を口にした。「でも、どうしてマネージャーさんは急にこんなことを…?」その質問に、はるちゃぴときよたんも共感した。
そして、全てが終わった翌日。山田マネージャーは明るい表情で四人に語った。「おかげで皆さんのことを知ってもらうことができました。それに、新たなファンも増えましたよ。これが僕の目指していた結果です。」彼女たちはその言葉に、驚きながらも嬉しさを感じた。
大阪の街を舞台にした鬼ごっこ。それは一見すると子供の遊びに過ぎないように思えるが、それを通じて彼女たちは大勢の人々とつながり、そして自分たちの存在を更に多くの人に知らせることができたのだ。
『緊急指令!大阪の市内で鬼ごっこ』は、それぞれの視点から見た大阪の街、そして彼女たち自身が成長し、互いに深くつながっていく物語。彼女たちの活躍を描いたこの物語は、アイドルとしての彼女たちの道のりを、リアルで、そしてダイナミックに描いています。