
5度圏で紐解く展開術:構造から感情を導く“循環”型作曲テクニック
「なんとなくコードを選んでしまう」
「展開に行き詰まってサビが作れない」
そんなときにこそ役立つのが5度圏(サークル・オブ・フィフス)。
感覚だけでは辿りつけない“構造としての美しさ”をベースに、
曲の展開やメロディの行き先を自然かつ大胆に導く方法を丁寧に解説します。
🎼【01】5度圏とは?音楽の“地図帳”
5度圏とは、全ての調(キー)やコードを、完全5度ずつで並べた円形の図。
時計回り:シャープ系へ(C→G→D→A...)
反時計回り:フラット系へ(C→F→Bb→Eb...)
この配置が、コード進行や転調、代理コードの流れを読み解く“鍵”になります。
- ◎ 時計回り:進行・推進・力強さ
- ◎ 反時計回り:安定・和らぎ・循環
🔁【02】展開に効く「5度圏思考」の基本
▶ ① ドミナント進行:強い“引き”
例:C – G – D – A – E(5度上にジャンプ)
→ 次のコードへ向かわせる“推進力”を強く感じる展開。
▶ ② サブドミナント進行:ゆるやかな“循環”
例:C – F – Bb – Eb – Ab(5度下に滑らか)
→ 穏やかに“戻る”印象、バラードや回想に最適。
🎹【03】5度圏から組み立てる展開テンプレ
▶「昇る」型展開
Am – D – G – C – F – Bb
→ 上昇するような“拡がり感”と希望を持たせる構成。
▶「旋回」型循環
C – Am – Dm – G – C
→ 小さな円で回りながら“終わらないループ”を演出。
▶「脱線→回帰」型
C – F – Ab – Db – G – C
→ フラット系で感情を揺らし、ドミナントで帰還させる構造。
🎧【04】DAW活用:5度圏を“視覚化して”組む方法
- ◎ MIDIトラックを5度圏に配置 → 推移感が掴みやすい
- ◎ スケール外コードは「5度圏からズレた位置」として意識
- ◎ コード進行テンプレートを5度圏ベースで保存 → アレンジ自由度UP
- ◎ セクションごとに「どちら回りか」分けて設計 → 曲構造が整理される
📚【05】名曲構造に見る“5度圏的思考”
▶ Official髭男dism「Pretender」
- ◎ C – G – Am – F の5度関係で形成 → サビで急上昇
▶ King Gnu「白日」
- ◎ サブドミナント→ドミナント→変調 → 回帰と裏切りを絶妙に配置
▶ YOASOBI「群青」
- ◎ 5度圏を挟んだ上下移動で疾走感を作る
🎀まとめ:5度圏は“進行の地図”であり、“感情の方位磁石”
5度圏は、単なるコードの並びではなく、楽曲の設計図としても活用できます。
どこへ進み、どこへ戻るか。それを“円”で把握できれば、展開も物語も思い通り。
サークル・オブ・フィフスを制する者は、構成を制す。
自分だけの“循環物語”を、あなたの音で紡いでください。
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