
モーダルインターチェンジ × 裏コード:感情と世界観を“すり替える”作曲テクニック
「メジャーだけじゃ物足りない」
「マイナーだけじゃ単調になる」
そんなときに活きるのがモーダルインターチェンジと裏コードの合わせ技。
この記事では、調性を大胆にズラしながらも“自然に聴かせる”ための構造美を、
実例進行、DAWでの応用、J-POPへの落とし込みまで一気に解説します。
🎼【01】モーダルインターチェンジとは?
モーダルインターチェンジ(モード借用)とは、
同じ主音(Cなど)を持つ別モード(スケール)からコードを借りるテクニックです。
- ◎ Key=Cメジャー → Cマイナーのコードを借りる(例:Eb、Ab、Fmなど)
- ◎ Key=Am → Aドリアン、Aハーモニックマイナーなどから借用
モードを“混ぜる”ことで、明暗・雰囲気・文化感が一気に広がります。
🔍【02】裏コードとは?復習としての基礎
裏コードとは、解決先のドミナントセブンス(V7)のトライトーンを共有するコード。
- ◎ G7 → C に解決
- ◎ G7の裏コード → Db7 → これもCに解決できる
一見異質なコードなのに、自然に進行を導く“闇のドミナント”とも言われます。
🎹【03】この2つを掛け合わせる意味
・モーダルインターチェンジでコード感をズラす
・裏コードで元の調性に戻す(またはさらに転がす)
この連携により、「ズレて→不安になって→納得する」感情の流れが生まれます。
🎛️【04】実例テンプレ:モード借用 → 裏コード → 解決
▶① Cメジャー → Ab(借用) → Db7(裏コード) → C
C – G – Ab – Db7 – C
→ AbはCマイナー由来。Db7はG7の裏コード。最終的にCに戻ると“スッと入る”。
▶② Aマイナー → Fm(借用) → B7(裏) → Em(平行転調)
Am – Dm – Fm – B7 – Em
→ モードの混乱から裏コードで切り替え、“新しいKeyに入る”感覚。
▶③ Gメジャー → Bb(借用) → Eb7(裏) → Am(展開)
G – D – Bb – Eb7 – Am
→ BbはGマイナーから借用。裏コードでマイナー展開に“予兆”を生む。
🎧【05】DAWでの活用アイデア
- ◎ モード借用コードだけMIDIで色分け → 調性感の変化を視覚化
- ◎ 裏コードのベースは半音下降 → “引力”の音設計
- ◎ サビ導入前にモードズレ→裏コードで急展開 → 緊張→納得の構造に
- ◎ 複数裏コードを連続で使い“迷宮構造”を演出
📚【06】名曲構造に見る応用パターン
▶ Aimer「RE:I AM」
- ◎ モード混合コード→裏コードを通じて“不安と希望”を同時に聴かせる
▶ Vaundy「東京フラッシュ」
- ◎ モーダルな進行→裏コードで“都会的混乱”をスムーズに設計
▶ 米津玄師「アイネクライネ」
- ◎ マイナー借用→裏コードでメジャー進行へ回帰 → “消えて戻る”構造
🎀まとめ:モード×裏コードは“音でストーリーを歪める装置”
音楽が“美しい”だけでなく、“妙に引っかかる”と感じる瞬間には、
こうした借用と歪みが潜んでいます。
モーダルインターチェンジで“色味”をズラし、裏コードで“戻す”ことで、
聴き手の感情を無意識に誘導する、極めて強力な構成力となります。
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